台湾の蔡英文総統が1月17日、台湾の半導体製造装置や付帯設備サプライヤの業界団体である台湾電子設備協会の役員と面会し、台湾の半導体産業の発展に呼応して、半導体製造装置のローカリゼーション(国産)化を推進していくことに意欲を示し、国際競争力の強化に期待を寄せたと複数の台湾メディアが報じている。

蔡英文総統は、半導体製造装置の国産化を推進することは台湾政府の政策であるとともに、同協会の重要な目標でもあるとし、半導体製造装置の開発に多くの業者が参入し、国産化比率を増やすことを目指し、台湾政府として支援していく姿勢を見せた。それによると、台湾の半導体メーカーは2021年に1兆NTドル(約4兆円)を投資したが、そのうち70%が製造装置や付帯設備で、6000億NTドル分が海外からの購入費用に充てられたと見られており、将来的な台湾電子機器業界全体の国際競争力を高めるためにも国産化が必要としている。

また同氏は、政府と協力して業界全体を結び付け、台湾の半導体業界の発展を支援してくれている台湾電子設備協会に感謝の意を表した。また、台湾の機器メーカーの多くは中小企業であり、研究開発推進のためのリソースに制約を受けることが多いことも認識しているとし、政府としても業界が半導体製造装置の開発投資を促進していくためのサポートを行っていくとも述べたという。

台湾政府による統計によると、2020年の台湾半導体製造装置産業の生産額は約907億NTドル、2021年は前年比28.7%増の1167億NTドルへと成長が続いているが、英国の市場調査会社Omdiaの調査によると、半導体製造装置メーカーのシェアを国・地域別で見ると、2020年は米州が38%、日本が32%と2国で7割を占め、さらにASMLなどを擁するオランダが19%で、中国8%、韓国2%、台湾1%と、台湾勢の存在感は薄い。

一方、2020年の半導体製造装置の販売先を国・地域別で見ると、中国が26%、台湾が24%、韓国が22%、日本が11%、米州が9%、欧州が4%となっており、中国・台湾・韓国が世界3大市場となっている。台湾政府としては、製造装置のほとんどを海外メーカーに頼ることは経済安全保障の観点からも問題であると見ており、こうした背景が今回の国産化要望につながったものとみられる。