アークエッジ・スペース、AAI-GNSS技術士事務所、清原光学、KDDI、KDDI総合研究所、三菱プレシジョンの6者は1月11日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の公募型企画競争「月面活動に向けた測位・通信技術開発』に関する検討」の委託先に選定されたことを発表した。

また、今回の6者に東京大学(大学院工学系研究科)を加えた7者でコンソーシアムを組成することも併せて発表された。

2022年1月初旬から同年3月25日のスケジュールで、月探査における基盤となる測位・通信システムの総合アーキテクチャおよび月測位衛星システムや、月-地球間の超長距離通信システムなどについて、その開発計画を検討するとしている。

現在、米国を中心に、日本も参加する国際宇宙探査計画「アルテミス計画」が進行中で、その第一歩として月の探査・開発が進められる予定となっている。2025年に、アポロ計画以来となる、有人月面探査が行われる予定であり、それ以降も年に1回程度の探査が予定されており、2020年代後半には恒久的な月面基地の建設も予定されている。また、2030年代以降は、月面有人探査のために建設される月周回有人拠点「ゲートウェイ」などを足がかりにして、有人火星探査も行われる計画となっている。

日本はこのアルテミス計画に参加するにあたり、JAXAがトヨタと組んで与圧式の有人月面ローバーを開発したり、同様にホンダと組んで月面基地用の循環型再生エネルギーシステムの研究をしたりと、さまざまなプロジェクトに取り組んでいる。多種多様な民間企業の技術力を活用しようとしているのだ。

アルテミス計画は国際連携で行われることから、日本はその中において、月面活動における測位、通信といった基盤を早期に整備し、リードしていくことが求められており、今回の「月面活動に向けた測位・通信技術開発」も民間企業の力も活用して検討が行われることになった。

また「月面活動に向けた測位・通信技術開発」は文部科学省を主担当庁としており、宇宙開発利用加速化戦略プログラム(スターダストプログラム)の戦略的プロジェクトとして位置付けられている。同プログラムは、月面開発、衛星基盤技術の強化など、各省の縦割りを排し、連携して取り組むべき研究開発プロジェクトとして選定・推進されている政府予算のプログラムであり、プロジェクトの管理はJAXAによって行われている。

そして、「『月面活動に向けた測位・通信技術開発』に関する検討」の委託先として選定されたのが、超小型衛星ビジネスを手がけるアークエッジ・スペースで、縦10cm×幅10cm×奥行き30cmで、重量約3kgという超小型衛星などを手がける。同衛星は、東大の中須賀・船瀬研究室で開発された「TRICOM-1R」がベースとなっており、福井県の企業と連携して開発が行われている。

なお、アークエッジ・スペースおよびコンソーシアム各社は、産官学連携の下、スピーディな技術開発・実証を強力に推進することで、日本の持続的な月・月以遠の深宇宙探査や月面産業の構築に貢献していくとしている。