IC Insightsによると、独自に導き出したIC市場の方向性指標に基づくと、2022年のIC市場は前年比11%増となると予測されると発表した。

同指標は、各年第1四半期の半導体市場売上高の前年第4四半期の売上高に対する増減率(1Q/4Q)が、その年のIC市場の景気の方向を占うことができるというもの。同社が24年前に見出した。

特定の年の最終的な年間成長率を直接的に予測するものではないが、前年第4四半期と当該年第1四半期の比較をすることでその年の年間成長率についての予想の方向性と大きさを表す指標になると同社では説明している。

この指標の背景には、IC市場のクリスマス商戦などがある最大の繁忙期の第4四半期と、その結果閑散期となる翌年の第1四半期という季節性にあるとしている。この関係から、通常は翌年の第1四半期は売上高が落ちることが多い。こうした関係性から、IC業界特有の典型的な四半期ごとの季節パターンを考えると、一般に各年の第1四半期が前年の第4四半期の売上高より大きいとその年は景気が良くなる。全体として、ある年の1Q/4Qの業績が前年の1Q/4Qの結果よりも優れている場合、その年の半導体景気は良いと予測される。また、1Q/4Qが前年の1Q/4Qよりも悪い場合は、悪くなることが予測されるという。

IC Insightsでは、1984年以降、1985年と2001年の深刻な景気低迷から回復期にある数年間はこの法則は当てはまらないとしているが、それ以外の期間については良い指標となるとしている。

  • IC景気方向性指標

    1984年~2022年のIC景気方向性指標(1Q/4Q)と、実際の前年売上高増減率。2022年は予測 (出所:IC Insights)

IC Insightsでは、2021 1Q/2020 4Qの+3%という値は、2020 1Q/2019 4Qの-3%よりも良い状況であることから、2021年のIC市場の成長率を2020年の前年比13%増を大きく上回る26%と予測している。逆に2022 1Q/2021 4Qは-3%と予測されていることから、IC市場の方向性指標は、2022年のIC市場の成長が2021年よりも低くなるとみられ、IC Insightsでは同11%増としている。

なお、季節的要因により、通常、第1四半期は閑散期と見なされているが、特定年の1Q/前年4Qがプラスになることは珍しいことではない。1984年から2021年までの38年の間、1Q/4Qがプラスだった年は16回あり、この16回の平均値は4%、IC市場そのものの成長率は24%となるほか、2000年以降で見た場合でも1Q/4Qがプラスとなったのは7回あり、この結果そのものは、好況期には第1四半期が必ずしも季節的閑散期というわけではないことを示すものであるとしている。

  • IC景気方向性指標

    1Q/4Qがプラスの値を示した年の値と前年比売上高増加率。1Q/4Qの平均値は+4%、実際の市場成長率は+24% (出所:IC Insights)