米Qualcommと並ぶモバイルプロセッサ・ファブレスファブレス大手である台MediaTekのCai Lixing CEOが11月16日講演を行い、今後もTSMCと緊密に協力し、5nmならびに4nm製品に続いて、3nm製品の開発・製造も進めると述べたと台湾の複数メディアが報じている。

同氏は、講演で自身の過去40年の経験を振り返り、(1)テクノロジーを重視すること、(2)優れた製品とサービスを開発すること、(3)顧客との戦略的関係を確立することと消費者との緊密な関係を確立すること、(4)世界に通用する才能を育成すること、の4つを心がけてきたと述べたという。

また、テクノロジーを重視して優れた製品を開発するために、現在、TSMCとの協業を進めており、2022年にも3nmプロセスでの生産に移行するほか、パッケージングとテストに関しても、TSMCのファンアウトパッケージ技術であるInFOを採用しており、こちらも協力して将来的にはさらなる小型化を進めていくとも述べたとする。さらに、MediaTekの需要が現在、大きく伸びており、今後も需要の伸びが期待されることから、TSMCの新工場建設による生産能力の拡大を関心を持って見守っていくとも述べたとしている。

拡大するMediaTekのSoC採用スマホ

MediaTekは2021年中にもTSMCの4nmプロセス(N4)を採用した5Gスマートフォン(スマホ)向けフラッグシップモバイルプロセッサ「Dimensity2000」を市場投入する予定としており、競合であるQualcommとの対決姿勢を見せている。

また、Samsungは2022年に64種類のスマホとタブレットを発売する予定だというが、そのうちの14種類にMediaTekのSoCが採用される見込みで、実現すればMediaTekの市場シェアがさらに増加するものと予想されると台湾メディアが別件として報じている。

主に、Samsungに製造委託しているQualcommのSoCは31種類のハイエンドスマホとタブレットへ、ミドルレンジならびにローエンドの14製品にMediaTekのSoCが搭載され、それ以外にSamsungの自社設計・製造プロセッサが搭載される見込みだという。

なお、MediaTekはTSMCと緊密に協力し、先端プロセスを活用する先行ユーザーの1社であるが、同じ台湾ファウンドリであるUMCとも良好な関係を構築しており、ファウンドリの生産能力不足の影響は少ない模様だという。MediaTekのほか、中国のスマホベンダも独自設計の3nmモバイルプロセッサを開発しているという話も出てきており、2022年は先端プロセスを採用したモバイルプロセッサの競争が激化しそうである。