Intelは10月21日(米国時間)、2021年第3四半期(7~9月)の売上高が前年同期比5%増の191億9200万ドル、純利益が同60%増の68億2300万ドルとなったと発表した。
ノートPC向けMPUの売上が減少
全体的には前同期比でプラス成長となったものの、PC用MPUを中心とする「クライアントコンピューティング部門(CCG)」の売上高は同2%減の約97億ドルとなった。中でもノートPC向けの売上高は同5%減となった。同社によると、同部門が減収となった理由は、顧客のPCメーカーで生じた電子部品不足やAppleのIntel離れの影響だという。一方の「データセンター部門(DCG)」では、売上高は同10%増の65億ドルとなったが、クラウドサービス事業者からの収入は同20%減となった。IoT部門(IoTG)は、同54%増の10億ドル、子会社化したMobileyeの売り上げは同39%増の3億2600万ドルと成長率としては高いが、売上規模が小さいためである。
同社は第4四半期の見通しについて、売上高は同3%減、粗利益率は6.5ポイントの低下との見通しを示しているほか、2021年通期の売上高についても前年比1%増の740億ドルとほぼ横ばいにとどまるとしている。
IntelのGeorge Davis最高財務責任者(CFO)は決算発表のテレコンファレンスで、「今後、技術投資を継続するため、粗利益率が向こう2~3年間は51~53%に低下する。その後は、従来の水準である60~65%に向かって上昇し始める」と話し、製造技術への投資拡大を理由に収益性が数年間にわたって悪化するとの見通しを明らかにした。同社の2022年の設備投資額は250億~280億ドルを見込んでいる。
米国政府からの補助金を期待するも進展はなし
同社CEOのGelsinger氏は、決算説明会の場で、米国政府からの支援があれば米国内でのさらなる拠点増設や新設を加速できるとし、「半導体企業の製造補助金支給の法案が年内の成立を望む」と述べたが、実際のところ、米議会での法案審議は進んでいない模様である。
Intelの米政府担当責任者であるAl Thompson氏は、520億ドル規模の米半導体製造支援法案であるCHIPS法(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors for America Act)に言及し、「この資金がなければIntelの米国内拠点建設は不可能だと述べた」と米経済メディアのBloombergが伝えている。同氏は、低下し続ける米国の半導体製造シェアの逆転を望むのであればCHIPS法が必要だとしているが、米議会の政治的分断を背景に審議が停滞しており、成立のめどが立っておらず、この法案が成立しないことには、Intelは新工場向けに計画していた投資を断念することも検討しているという。
AppleのIntel離れを取り戻したいIntelの思惑
Appleは、2020年より独自設計のSoCをMacに搭載し、2021年10月にも「M1 Pro」や「M1 Max」を搭載したモデルを発表し、Intel離れを加速させている。これに対して、IntelのPat Gelsinger CEOは、従来のMacを揶揄する姿勢を一変し、「Appleは良い仕事をした。我々よりも優れたチップを自分たちで作れると判断した。私がすべきことは、彼らよりも優れたチップを作ることである。」と述べたと米国メディアが伝えている。
さらに同氏は、AppleのPC向けビジネスだけでなく、他のビジネスについても時間をかけて取り戻すことを望んでいる、と語ったとも伝えられており、Appleに見切りをつけられたIntelが再び、手を取り合うことができるのか、Gelsinger CEOの手腕に注目が集まっている。