2020年下期より顕在化してきた半導体不足は、12インチウェハのみならず8インチウェハでも問題視されるようになっている。8インチウェハ需要をけん引しているのは電気自動車や5Gスマートフォン向けパワーマネジメントIC(PMIC)などで、こうした新規アプリケーションからの需要は少なくとも今後数年間は高まり続けるとTrendForceでは予測している。

こうした旺盛な需要に応えるためにTSMCやUMC、SMICといった大手ファウンドリは現在、成熟プロセスへの投資を拡大している。その結果、TrendForceでは、半導体業界の8インチウェハの生産能力が2019年から2023年までの期間、年平均3〜5%で成長すると予想している(12インチウェハの生産能力は同期間で年平均11〜13%で成長すると予想している)。

8インチでもっとも生産能力が不足しているプロセスは0.18μm~0.11μm、12インチでは55nm~12nmであり、一部のファウンドリでは、こうした成熟プロセス向けにラインの増設を進めており、2022年後半から2023年前半の稼働が期待され、これにより現在の半導体不足の緩和につながることが期待されるとしている。

また、20nmプロセスより微細なプロセスでは、コストのかかるFinFETを採用する必要があるため、28nmプロセスの製造能力を拡大させるファウンドリもいくつかみられるという。そうした意味では、28nmプロセスはコストと性能のスイートスポットとなっており、ノートPC向けWi-Fiチップ、スマートフォン向け有機ELドライバIC、車載マイコン、画像信号処理プロセッサなど、さまざまな製品に活用されるようになっている。今後も、スマート家電やセットトップボックスなどのIoT機器向けチップや、現在40nmプロセスで製造されている製品からの移行といったことも考えられ、28nmプロセスの需要は今後も拡大しつづけるものとTrendForceでは予測している。