世界的な半導体不足を背景に、ベースとなるシリコンウェハの増産にウェハメーカーが次々と動きつつある。9月末に、業界2位のSUMCOが2000億円以上を投じて増産を行うことを明らかにしたが、中国や韓国の企業も300mmウェハの増産に向けた動きを見せているという。
韓国ではSK Siltronが300mmエピウェハを増強
韓国のシリコンウェハメーカーSK Siltron(旧LG Siltron)が、清州市に300mmエピタキシャルウェハ製造工場を建設する方向で調整を進めていると韓国経済新聞が10月5日付けで報じている。
同社は現在、亀尾市で200mm/300mmのバルクおよびエピタキシャルウェハの製造を行っているが、新たに付加価値の高い先端半導体製造用300mmエピウェハの量産を今回決めたという。量産開始時期は2022年下半期を目標としており、新工場は、同じSKグループのSK Hynix清州工場敷地内にある遊休状態のレガシー半導体製造施設を利用することで工期を短縮するという。清州は、SK Hynixにとって発祥の地であり、現在はNANDメモリ製造の本拠地となっているが、遊休状態の古い製造棟が残っている。
中国で、300mmウェハ月産100万枚に向けた動き
一方の中国では、2014年に設立された上海新昇半導体(Shanghai Xinsheng Semiconductor Technology)が、半導体自給自足の国家方針に沿って300mmシリコンウェハの製造を行っているが、第1段階と定めた月産15万枚の目標をクリアし、2021年末までに第2段階の目標である月産30万枚へと引き上げる計画だという。
同社は、シリコンウェハに対する中国政府の2025年までに月産100万枚という目標への対応を目指し、製造施設の拡張を続けるという。
また、300mmシリコンウェハの国家戦略の実現に向け、「40~28nmテクノロジノードでの300mmシリコンウェハ技術の研究開発」という国家プロジェクトをすでに完了させ、現在は「20~14nm 300mmシリコンウェハ技術の研究開発」プロジェクトを実施している。
日本のシリコンウェハメーカーが3nm以降の最先端半導体製造をターゲットにしているのに比べれば、レガシープロセス向けということとなるが、巨大な中国半導体業界の需要にこたえるために「質より量」で勝負しているように見える。
なお、同社の300mmシリコンウェハ製品は、メモリチップ、ロジックチップ、アナログチップ、IGBTパワーデバイス、通信チップなどの中国集積回路業界で広く使用されているという。