古河電気工業(古河電工)と日亜化学工業(日亜化学)は4月26日、電気自動車(EV)の基幹部品であるモータや電池に使用する銅の加工技術で業務提携を行うと発表した。

具体的な提携内容は、青色レーザダイオードモジュール(LDM)の生産に関し両社のリソースを1拠点に統合し、2022年5月より生産開始できる体制を整えることや、共同アプリケーションラボを2021年6月に開設し、両社共同での市場探索を行っていくとするもの。

LDMの生産に関しては、2017年10月より、日亜化学が高出力青色レーザダイオードを、古河電工が青色LDMの開発を行い、2021年1月に光出力170Wに達する青色LDMを共同開発した。将来的には青色LDMの生産に関する合弁会社の設立も視野に入れており、今まで両社それぞれの拠点で行っていた青色LDMの生産を日亜化学の徳島県内の事業所に統合し、開発、生産を行っていくとしている。

また、共同アプリケーションラボに関しては、2021年6月に日亜化学の横浜研究所に開設し、次世代ハイブリットレーザ「BRACE-Ⅰ」」を用いて銅加工に関するソリューションを提案していくという。

  • 日亜化学の小林裕義社長(左)と古河電工の小林敬一社長(右)

    2021年にオープン予定の共同アプリケーションラボ内で、BRACE-Ⅰと共に写真撮影に応じる日亜化学の小林裕義社長(左)と古河電工の小林敬一社長(右)

BRACE-Ⅰは両社で共同開発を行った青色LDMを搭載したBlue-IRハイブリッドレーザで、近赤外ファイバレーザの高速に加工ができる点と、青色レーザの光吸収率が高く、加工欠陥が少ないという両方のメリットを享受することができるという。

たとえば、リチウムイオン電池の電極箔に用いるような銅箔50枚を重ねて溶接するものだと約1秒の溶接で加工が終了する。

  •  BRACE-Ⅰで加工を行った銅箔

    BRACE-Ⅰで加工を行った銅箔

BRACEの共同研究を進め、2022年までに、青色レーザの出力を6.7倍、赤色レーザの出力を3倍に高めたより高出力なBRACEを開発し、電池容量の拡大などのニーズに応えていきたいとしている。

  • BRACEの開発ロードマップ

    BRACEの開発ロードマップ