フランスの国立電子技術情報研究所であるCEA-Letiは、次世代ワイヤレス接続である6Gに関する欧州連合(EU)研究プロジェクト「RISE-6G」が発足したことを発表した。
同プロジェクトは、ワイヤレス伝搬環境のプログラム可能な制御を可能にする再構成可能なインテリジェントサーフェス(Reconfigurable Intelligent Surfaces:RIS)に基づいて、スマートかつ高いエネルギー効率を実現する技術を設計し、プロトタイプを作成し、テストまで行おうというものとなっている。
2021年より3年間の期間限定プロジェクトで、CEA-Letiによって試験運用される。このコンソーシアムには、学術、研究、産業部門を代表する7か国から13のパートナーが参画することとなる。
13パートナーは、企業からNECの欧州法人NEC Laboratories Europe(技術コーディネーター、ネットワークベンダー)、OrangeおよびTelecom Italia(通信事業者)、Greenerwave(テクノロジープロバイダー)の4社が、大学としてChalmeers University、Aalborg University、National and Kapodistrian University of Athens、University of Notthingamの4校、研究機関としてCEA-Leti、Consorzion Nazionale Interuniversitario Italiano、Center National de la Recherche Sceintifiqueの3機関、そしてその他の組織としてフランス国鉄(SNCF)およびCentro Ricerche Fiatの2社がエンドユーザーが参画している。この2社は、フランス国鉄の駅構内およびFiatのIndustrie 4.0を適用した自動車製造現場での実証実験を行うことにしているためだという。
RISE-6Gプロジェクトコーディネーターで6Gの未来CEA-LetiのワイヤレスリサーチディレクターであるEmilio Calvanese Strinati氏は「我々の使命は、ローカルで簡潔かつエネルギー効率の高い大容量通信のワイヤレス通信を動的に制御することにより、ワイヤレス環境のサービスとしてこの破壊的イノベーションを実現することである。このシステムは、スペクトルの使用と電磁場(EMF)の抑制に関する特定の規制に対応しながら、エネルギー効率、位置特定の精度、プライバシーを保証する」と述べている。
RISE-6Gプロジェクトでは、技術実証に向けた主要なハードウェアビルディングブロックの設計と将来の5G/6Gネットワークへの統合に取り組むとしており、その目標達成に向け、以下のような取り組みを進めていくとしている。
- 複数の再構成可能なインテリジェントサーフェスを組み込んだ新しいネットワークアーキテクチャと運用戦略を定義
- 提案された現実的で検証済みの電波伝搬モデルを利用して、新しいシステムの基本的な制限を特徴付け
- 動的にプログラム可能なワイヤレス伝搬環境に基づいて、オンライン取引を可能にすると同時に、スペクトルの使用、データ保護、および電磁界(EMF)放射に関する特定の法律および規制要件に対応するソリューションの設計