フィックスターズは2月1日、D-Waveをはじめとする企業が提供する量子アニーリング/イジングマシンを手軽に実行できるクラウド基盤「Fixstars Amplify」の提供を開始したことを発表した。
従来、量子アニーリングマシンを使うためにはハードウェアやアルゴリズムの専門知識などを必要とするなど、使いこなすための技術的なハードルが高いとされてきた。Amplifyは、SDK(ソフトウェア開発キット)を利用することで、量子アニーリングについて詳しくない人であっても、手軽に利用させることを可能としたもの。具体的には課題を定式化して実行するだけ。ソースコードの行数も数独を解くサンプルアプリの場合、SDKなしだと200行ほど必要だが、SDKありの場合は56行で済むほか、富士通のデジタルアニーラの場合、設定用コードもSDKなしだと59行必要としたところを、SDKありであれば1行で済むとしている。
SDKが対応する量子アニーリング/イジングマシンはフィックスターズのGPUアニーリングマシン「Amplify AE」のほか、D-Wave、富士通、東芝、日立製作所の各マシン。ただし各メーカーのマシンを利用する場合は、別途各社との契約が現時点では必要となっている。これに対しフィックスターズの代表取締役社長 CEOである三木聡氏は、「今後、各メーカーと協議を進めていき、ユーザーに手間をかけないようにフィックスターズと契約すれば手続きができるような環境を整えたい」としている。
同社では、研究および開発にAmplify AEを利用する場合は無償利用が可能としており、まずはSDKの使い勝手などをこの環境で試してみてもらいたいとしている。同社では、GPUアニーリングマシンを開発した背景として、「気軽にアニーリングマシンを使える環境を用意しないと開発者が増えないという想いがあり、自社のサービスとして提供するためにSDKを開発。SDKを使って、すぐに実行できる環境を整えることで、自分の書いたコードや機能を試すことができる実行環境を用意したいと考え、開発することを決定した」と説明。その性能についても10万ビット超の問題を扱えるなど、実アプリでも性能を出せることに注意した設計となっているという。
なお、Amplify AEを実際に顧客が自社のシステムに組み込んで利用する場合、共有サーバーの場合で月額10万円~(1システムあたり、税別)、専有サーバーの場合で月額100万円(1台あたり、税別)となっており、同社では同サービスを提供していくことで、3年後に10億円の売り上げを目指したいとしている。