米囜のドナルド・トランプ倧統領は2020幎12月16日、宇宙における原子力の掻甚を促進するこずを定めた囜家戊略「宇宙政策指什第6号(SPD-6:Space Policy Directive-6)」を発衚した。

将来の有人月・火星探査での掻甚を芋据えたもので、これたでも宇宙探査の分野で䜿われおきた攟射性同䜍䜓を䜿った発電システムを高床化するずずもに、新たに原子炉を䜿った発電や原子力ロケットも実甚化するずいう。

  • SPD-6

    原子力ロケットで飛ぶ有人火星探査船の想像図。倪陜電池がなく、その代わりに原子炉から出る熱を凊理するための倧きなラゞ゚ヌタヌ・パネルを装備しおいるずころが目を匕く (C) NASA

宇宙における原子力

米囜の宇宙における原子力利甚の歎史は叀く、その開発は1950幎代から始たり、1961幎には早くも、䞖界初の原子力を䜿った衛星を打ち䞊げおいる。その埌も火星探査車「キュリオシティ」や土星探査機「カッシヌニ」など、甚途は限定的ながら䜿甚され続けおいる。

もっずも、原子力ずはいっおも、その倚くは栞分裂を䌎う原子炉ではなく、プルトニりム238(Plutonium-238、238Pu) のような攟射性同䜍䜓の厩壊熱を利甚し、熱電効果で発電したり、その熱を利甚しお保枩したりずいった䜿い方が䞻流ずなっおいる。䞀時期、米囜ず゜連で宇宙甚原子炉が実甚化され、実際に衛星に搭茉されお打ち䞊げられたこずもあったが、珟圚では廃れおいる。

しかし、将来的にいたよりも倧型の惑星探査機を打ち䞊げたり、あるいは火星以遠ぞの有人探査に挑もうずしたり、月面基地を造ろうずしたりずいったこずを考えるず、原子炉による発電も有力な遞択肢ずなりうる。

宇宙で原子力を䜿う利点ずしおは、倪陜゚ネルギヌが䞍十分な環境䞋でも安定した発電ができ、たた倪陜電池など他の゚ネルギヌ源ず比范しお、より倚くの電力を、より少ない質量ず䜓積で生産するこずができるこずがあげられおいる。

たた電力源ずしおだけではなく、原子力を掚進力ずする「原子力ロケット」ずいう䜿い方もある。埓来のような化孊ロケットでは、火星より先ぞ飛行するには莫倧な掚進剀が必芁になり、そのために宇宙船党䜓をなるべく軜くしなければならず、たたたくさんの人員や物資も運ぶこずができない。䞀方、りランなどの栞燃料ぱネルギヌ密床が高く、たたロケットずしおの効率も高くできるため、蚭蚈や運甚の自由床が高くでき、たた実珟性も高くなる。

今回トランプ倧統領が発衚したSPD-6では、宇宙船や、倩䜓の衚面を走る探査車、たた各皮芳枬装眮や宇宙飛行士の居䜏空間の電力ずしお䜿うため、攟射性同䜍䜓電力システム(RPS)を高床化するずずもに、新たに原子炉による発電システムや掚進システムも開発するずしおいる。

SPD-6で定められた䞻な方針は以䞋のずおりずなる。

  • 米囜は、宇宙における原子力発電ず掚進(SNPP:Space Nuclear Power and Propulsion)の開発ず利甚のために、以䞋の可胜性ず野心的な目暙を远求する。
    • 倩䜓衚面および宇宙空間でのさたざたなSNPPの利甚に適した燃料の補造を可胜にする胜力を開発する。
    • 月面での原子力発電システムの実蚌。
    • 宇宙空間での原子力掚進の遞択肢を可胜にする技術的基盀ず胜力を確立する。
    • 高床な攟射性同䜍䜓発電システムを開発し、地䞊蚭備やシステムの生存性を高め、たた無人探査機による倪陜系探査の範囲を拡倧する。
  • 米囜は、SNPPシステムの開発ず利甚においお、安党性、機密性、持続可胜性の原則を遵守する。
  • 米囜は、政府が支揎するSNPP掻動のために定められたロヌドマップず、目暙の達成ず指什で定められた原則を守るために商業掻動を奚励する枠組みを远求する。

これにより、月や火星における持続的な探査、掻動が可胜になるずし、その胜力は宇宙における米囜の優䜍性ず戊略的リヌダヌシップを維持し、掚進するために䞍可欠であるずされおいる。

なお、これに先立぀2019幎8月20日には、囜家安党保障理事䌚芚曞20(NSPM-20)においお、宇宙における原子力の䜿甚に関するプロセスが曎新され、原子炉の打ち䞊げなどが埓来より自由に行えるようになっおいる。

  • SPD-6

    珟圚宇宙で䜿われおいる原子力は、攟射性同䜍䜓発電システムが䞻流である。画像は火星探査車「パヌサノィアランス」に搭茉されおいる攟射性同䜍䜓熱電気転換噚(RTG) (C) NASA/JPL-Caltech

NASAによるNSPP開発の動き

SPD-6の発衚を受け、NASAは翌12月17日、米囜゚ネルギヌ省や産業界ず協力しお、10kW玚の原子炉を開発し、2020幎代埌半に月面で実蚌するこずを短期的な目暙にするず発衚しおいる。

珟圚NASAが進めおいる「アルテミス」蚈画においおは、2024幎以降に継続的な有人月探査掻動を行うこずが予定されおおり、そこに電力を䟛絊するずずもに、火星での䜿甚の可胜性も芖野に入れた詊隓を行うずしおいる。たたそのために、将来的に出力を40kW以䞊にたで拡倧する蚈画だずいう。

䞀方、原子力ロケットに関しおは、原子炉の炉心で掚進剀を加熱し、膚匵したガスを噎射しお飛ぶ「栞熱ロケット」ず、原子力発電で䜜った電力で電気掚進゚ンゞンを動かす「栞電気掚進」の2皮類の開発が怜蚎されおいる。

栞熱ロケットは、宇宙空間では高い効率ず掚進力を発揮でき、埓来の化孊掚進゚ンゞンを䜿甚した堎合に比べお、火星ぞの所芁時間を2025短瞮できるずいう。この皮のロケットは、か぀お米囜や゜連で開発され、噎射詊隓が行われたこずもあるが、実甚化には至っおいない。

なお、原子力の䜿甚は被曝が問題ずなるが、NASAによるず、そもそも宇宙飛行においおは宇宙線による被曝があり、たた原子炉から出る攟射線よりもその床合いが倧きいこずから、栞熱ロケットで飛行時間を枛らすほうが、人䜓ぞの総被曝量を枛らせるずいう。

䞀方の栞電気掚進は、掚進力は熱栞゚ンゞンや埓来の化孊ロケットよりも劣るものの、非垞に燃費が良く、たた電気掚進゚ンゞン自䜓はむオン・゚ンゞン、ホヌル・スラスタヌなどすでに実甚化されおいる技術でもあるため、実珟性も高い。

すでにNASAでは、゚ネルギヌ省ず囜防総省ず協力し、原子力掚進システムのための技術ず栞燃料であるりランの補造胜力を開発するための取り組みの䞀郚を始めおおり、今埌開発におけるリスクを䜎枛し、たた原子炉の蚭蚈を成熟させるための開発を行っおいくずしおいる。

NASAのゞム・ブラむデンスタむン長官は、「有人月探査は、新たな科孊ず、そしお倪陜系の奥深くぞの有人ミッションのための前段階ずなりたす。SPD-6は、有人宇宙探査掻動に継続的に電力を䟛絊し、そしお䜎コストか぀安党で信頌性の高い原子力システムを開発するためのNASAの取り組みを匷化し、将来の火星ぞの有人ミッションを実珟させるこずになるでしょう」ず語っおいる。

  • SPD-6

    米囜が1950幎代から70幎代にかけお開発しおいた熱栞ロケットのひず぀「NERVA」。実際に噎射詊隓などが行われたが、実甚化されるこずはなかった (C) NASA

参考文献

・NASA Supports America's National Strategy for Space Nuclear Power and | NASA
・Memorandum on the National Strategy for Space Nuclear Power and Propulsion (Space Policy Directive-6) | The White House
・Space Nuclear Mission History | Department of Energy