Appleは、10月14日(米国時間)に開催したイベントで注目のiPhoneの2020年モデル「iPhone 12」が発表された。同製品に関して、ディスプレイ市場動向調査会社DSCCのアジア代表である田村喜男アナリストがディスプレイの観点から見た分析結果を発表した。

  • DSCCアジア代表アナリストの田村喜男氏

    DSCCアジア代表アナリストの田村喜男氏

今回の新製品4モデルに搭載されるディスプレイは、DSCCが事前に予測した通りのパネルカテゴリーであったという(表1参照)。

各モデルの価格は、低価格モデルから順に699ドル、799ドル、999ドル、1099ドルである。iPhone 11発売時も通常タイプのiPhone 11が699ドルであったことから、それが踏襲されたほか、ハイエンドのiPhone 11 Proも999ドルならびに1099ドルと同一の製品価格レンジに抑えられた。そのiPhone 12の特長としては、5G対応、カメラに7枚レンズを使用、iPhone 11と比べて4倍もの耐落下性能を誇るセラミックシールド採用のカバーガラス搭載、そして製品が薄く軽く(11より厚さ11%減、重量16%減)なった。つまり、iPhone 12は製品が進化した一方で、iPhone 11の製品価格帯を維持した形といえる。

  • iPhone 12

    iPhone 12の4機種の仕様 (出所:DSCC)

ディスプレイには、iPhone 12およびiPhone 12 miniでもフレキシブル有機EL(OLED)を採用し、パネル解像度とPPIが6.1インチ液晶パネルの326ppiより大きく高精細化(ハイエンドと類似のPPI、458-476ppi)した。「ディスプレイの観点からは、フレキシブルOLEDと高価なカバーガラスを採用したにもかかわらず、iPhone 11と同程度の製品価格を維持できたことは意外である」と田村アナリストは指摘している。ハイエンドであるProの2モデルと標準タイプ2モデルの価格帯を比較すると、標準タイプの製品仕様がそれほど見劣りしない点からも、標準タイプ2モデルは戦略的に100ドル程度低価格に設定したものと田村氏は捉えている。

iPhone 12の6.1インチというディスプレイサイズは、LG Display(LGD)がメインベンダーだが、それだけでは供給量が足りないため、Samsung Display(SDC)のパネルも採用される模様だ。また、BOEが年末までに少量供給の可能性があると見られている。そのため、SDCのパネルもLGDの仕様として、一般的なオンセルタッチパネル(SDCの名称ではYOCTA)とCOP(チップオンプラスチック)のドライバーICではなく、外付けのアドオンタッチパネルとCOF(チップオンフィルム)のドライバーICを採用している模様だ。

SDCの6.1インチOLEDはProモデル向けでは独占供給であるが、標準モデル向けに対しても、BOEが量産供給できるようになるまでは、SDCがセカンドベンダーとして供給される見通し。「2021年モデルとなるであろう『iPhone 13(仮)』では、すべてのフレキシブルOLEDがオンセルタッチパネルとCOPのドライバーICを採用することを期待している」と田村氏は述べている。

なお、売れ筋モデルの予測について田村氏は、「標準タイプの6.1インチiPhone 12がもっとも売れる可能性がある。最安値の5.4インチのminiより100ドル程度のコスト増に留まることと、最安値のminiは最近のスマートフォンとしてはやや小さすぎると捉えるユーザーが比較的多いと思われるためだ」と考察している。

そのため、モデル別販売シェア予想(2020-2021年)については、iPhone 12 miniが25%、iPhone 12が35%、iPhone 12 Proが20%、iPhone 12 Pro Maxが20%となるとみているという。