市場動向調査会社のYole Développementは、車載向けが急成長しているLiDAR市場に関する動向調査を実施し、2019年のLiDAR市場は16億ドル規模であったが、今後、年平均成長率19%で成長し、2025年には38億ドル規模に達するとの予測を発表した。

用途別内訳では、ADAS向けの成長率がもっとも大きく、2019年の1900万ドルから年平均114%で成長し、2025年には17億ドルに達する。次に大きな市場は伝統的なトポグラフィ用で、2019年の市場規模は10億ドルだったが、今後年平均成長率6%で成長し、2025年には13億ドルに達すると予測されている。また、注目の自動運転向けは2019年に8700万ドル規模であったのが、年平均12%で成長し、2025年には1億8000万ドル規模に達するとしており、ADASおよび自動運転向けが、LiDAR技術の主なけん引役となることが期待されている。

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    2019年および2025年のLiDARの用途別市場規模と年平均成長率 (出所:Yole Développement、以下すべて)

ちなみに産業市場も今後は、多くのロボットやスマート設備にLiDARが採用される見込みだが、LiDARの低価格化(値下げ)により、2019年から2025年に掛けての金額ベースの成長は緩やかなものになるとYoleは予測している。

低価格化が進むLiDAR

LiDAR市場(2018年および2019年)における各サプライヤの売上高シェアを見ると、日本企業としてはトプコンならびに北陽電機が上位に入っている。今のところ、LiDAR市場では、従来のトポグラフィ向け(Trimble、Hexagon、トプコン)および工場自動化向け(Sick、BEA Sensors)が存在感を示している。一方、Hesai、Robosense、SureStarなどの中国LiDARサプライヤは、低価格攻勢をかけていることもあり、金額ベースでのシェアの伸びは低い状況となっている。

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    2018年および2019年のLiDAR市場における各サプライヤの市場占有率(マーケットシェア)

現在、LiDAR市場には値下げの波が押し寄せているとYoleでは説明している。Velodyneは、LiDARの単価を2017年の17900ドルから2024年には600ドルへと下げる計画を発表しているほか、1000ドル未満という他社の5分の1程度の価格で攻める中国勢がビジネスを拡大させており、工場、ロジスティクス、セキュリティなどの新しい産業用アプリケーションへの参入が期待される状況となってきた。

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    車載および産業向けLiDARのロードマップ

自動運転でLiDARが不要になる可能性も

Yoleは、2025年までにパーソナルカーの3.2%がLiDARを採用すると予想しているが、ロボットカーのLiDAR市場に対する影響は、その配備数が少ないため、以前の予想よりも緩やかになると見ている。また、新型コロナウイルスの感染拡大による経済の停滞が自動車メーカーに財政的圧力をかけている点に注意を要するとYoleは指摘している。

二酸化炭素排出量の削減を義務付ける規制により、自動車開発の投資は電動化/電子化に向かっている。また、TeslaがLiDARなしで自動運転車を実現させようという取り組みを進めており、これが現実のものになれば、今後数年間でLiDARの重要性が低下する可能性もあり得る。

そうした動きの一方で、多くの自動車メーカーがLiDARを採用し始めている点も注目される。その背景には、3DリアルタイムLiDAR向けの主要アプリケーションとなりつつあることが挙げられる。2017年にAudiが数モデルに長距離型LiDAR「Valeo Scala」を搭載。2018年末には、Waymoが「Waymo One」を発売し、そのロボタクシーサービスにWaymoの中距離・長距離型LiDARを搭載した。Continentalも、2020年に向けて短距離型フラッシュLiDARを発表しているほか、Innoviz、Velodyne、Luminarのような自動車メーカーとパートナーシップにある他のLiDARメーカーは、長距離型アプリケーションをターゲットにして開発を進めるなど、多くの自動車メーカーはLiDARを必要なものとして位置付けているようだ。

中国LiDARメーカーが活用する日本の電子部品

車載LiDARはフォトディテクタ、IC、LiDARシステム、レーザー源、光学部品などで構成されており、多くの企業がかかわっている。

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    国・地域別主要車載LiDARサプライヤ一覧

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    車載LiDARエコシステム:フォトディテクタ、IC、LiDARシステム、レーザー源、光学部品それぞれのサプライヤ一覧

Yoleのリーバースエンジニアリング子会社System Plus Consultingの集積回路、パワー半導体およびLED部門のプロジェクトマネジャーであるSylvain Hallereau氏によると、2016年に設立された中国の新興メーカーLivox TechnologyのADAS車載向けHorizon LiDARを分解してみたところ、LiDARは「パルスレーザーダイオード」、「アバランシェフォトダイオード」、「光学システム」、「プロセッサ」の4つの構成要素を中心に製造されており、センシング・モジュールは、浜松ホトニクスがLiDAR向けに開発した6つのフォトダイオードアレイダイを搭載していることを確認したとのことで、LiDARそのものでの日本企業の存在感はそこまで高くはないが、内部コンポーネントとして見た場合は、市場の伸びとともに存在感を発揮してくる可能性もあると言えるだろう。

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    Livox TechnologyのHorison LiDAR分解写真