電気通信大学(電通大)大学院情報理工学研究科情報学専攻の橋山智訓 教授とクリエイティブジャパンは、新型コロナウイルス感染症の予防研究における換気の指標とすることを目的に、呼気に含まれるCO2の濃度およびその測定値を基に、室内の人数変動の把握をリアルタイムに行うことができる密集度測定に関するシステムを開発したことを発表した。

2020年8月末の時点で、三密の回避とは言われ、会場への人数制限を設ける、といったことは言われているが、対策としての換気指標として具体的な指針は出されておらず、目安や方法、時間に関する数値も示されていない。今回の研究は、呼気に含まれるCO2に着目することで、そうした関連数値の明確化を目指したもの。具体的には、クリエイティブジャパンのIoTソリューション「CLIP」として、CO2センサ内蔵IoTデバイスと連動したWebシステム「CLIP新型コロナ感染症予防支援システム」を活用して、一定の空間におけるCO2濃度を測定。その測定値をもとに、室内の人数変動の把握をリアルタイムで実施し、そこから密集の度合いを分析し、部屋の広さに応じた定員を超えた場合には管理者に通知を行うことを可能とした。

  • CLIP新型コロナ感染症予防支援システム

    「CLIP新型コロナ感染症予防支援システム」による在室人数とCO2濃度の変化グラフのイメージ (出所:クリエイティブジャパンWebサイト)

なお、電通大では、CO2濃度が1000ppm以上で思考力が低下し、2000ppm以上で眠気を感じるようになり、そして2500ppmを超えると仕事などのパフォーマンスが著しく低下するとされている研究に基づき、室内のCO2濃度を測定することで、大学の教室内における換気環境(CO2)見える化システムとしての活用により、大学教室の空気環境の最適化による大学生への最適な勉強環境の提供も図っていきたいとしている。