似て非なるテクノロジーとデジタル

アクセンチュアは8月5日、2020年に企業が抑えるべきテクノロジートレンドに関する調査レポート「テクノロジービジョン2020」に関する説明会を開催。ポスト・コロナ時代ともいうべき、これからの社会に対する企業、そしてそれを率いるCEOがテクノロジーならびにサイエンスにどう向き合うのかについての提言を行った。

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    「テクノロジービジョン 2020」のコロナアップデート版の表紙。2020年2月に発行されたアップデート前のものも含めアクセンチュアのWebサイトより入手が可能 (提供:アクセンチュア)

同レポートは2019年12月~2020年1月までに25カ国の企業経営者6000人以上と4カ国の消費者(生活者)2000人から得られた回答と、各種専門家へのインタビューを基に作成されたもの。毎年テーマが刷新されており、2020年は「ポスト・デジタル時代を生きる:企業が『テッククラッシュ』を生き残るためには」となっており、2019年の「ポストデジタル時代の到来:次への備えはできているか?」と比べ、デジタルからテクノロジーへと言葉の幅が広がっている。この点について、解説を行ったアクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部インテリジェントソフトウェア、エンジニアリングサービスグループ日本統括マネジング・ディレクター 山根圭輔氏は「テクノロジーの浸透とデジタルの活用という意味合いが異なってきた」と説明する。

言い換えれば、新型コロナウイルスの世界的感染拡大は奇しくも、否応なく一般の生活者にデジタル化を求める結果をもたらした。つまり生活者にとってテクノロジーはもはや日常の一部として浸透している状態になったということである。同社の調査でも、52%の生活者が「テクノロジーが日々の生活において重要な役割を果たしている。もしくは、ほぼすべての側面に深く根付いている」と回答したほか、19%の生活者が「テクノロジーは日常生活と密接に結びついており、切っても切り離せない存在」と回答している。

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    テクノロジーの浸透がそのままイコールでデジタルをは言えない時代に入ってきた (提供:アクセンチュア)

ただし、これは生活者が感じる感覚であって、企業は必ずしもそう考えていない。よしんば、考えられていたとしても、それを実行に移すことができていないことが多い。山根氏も「生活者はテクノロジーが生活に溶け込んで意識せずにそれらを自由に活用できる状態がベースとなっている一方、企業は自社の視点での囲い込みによる狭いエコシステムにこだわったり、既存業務の効率化に適用する程度」と温度差があり、これが「テクノロジークラッシュ(テッククラッシュ)」を招く結果を生み出していると指摘する。

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    生活者と企業の価値観や思想の違いが利用するテクノロジーに対する信頼を落とすことにつながり、テッククラッシュを招く可能性がある (提供:アクセンチュア)

テクノロジー企業になるために必要なもの

テクノロジークラッシュは、なにも企業が提供するテクノロジーが古いから生じるというものではない。テクノロジーを提供する企業の古い従来型企業スタイルと、自由にさまざまなテクノロジーを垣根なく使いたい先進的な生活者スタイルの間にギャップが生じることで生まれる。この結果、生活者はテクノロジーを提供する企業に対する信頼を喪失することとなり、その企業から離れてしまう、という問題が生じることとなる。

では、この問題を解決するのか。山根氏は「企業側はより顧客中心のテクノロジー企業に転身していく必要がある」とする。具体的にはその転身を実現するためにCEOが「テクノロジーCEO」へと変化していく必要があるとする。

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    ポストコロナ時代、企業は生き残るために単にデジタルを利用するのではなく「テクノロジー企業」に変化、それを率いるCEOも「テクノロジーCEO」へと変貌を遂げないといけないというのが同レポートの趣旨 (提供:アクセンチュア)

今回のレポートでは、テクノロジー企業、そしてテクノロジーCEOになるために必要な以下のような5つのトレンドが掲げられている。

  • 体験の中の「私」
  • AIと私
  • スマート・シングスのジレンマ
  • 解き放たれるロボット
  • イノベーションのDNA
  • テクノロジービジョン2020

    テクノロジービジョン2020で示された5つのトレンド (提供:アクセンチュア)