アンシス・ジャパンは2020年8月5日、7月にリリースした高い操作性を備えた次世代製品設計ソフトウェアアプリケーション「Ansys Discovery」の最新バージョンである「Ansys Discovery 2020R2」に関する説明会を開催。新たに2つのソルバーが選択可能になったこと、ならびに新たなユーザーインタフェース(UI)を採用したこと、そして製品パッケージの構成などが変更されたことなどを説明した。

製品の販売パッケージ形態が変更に

「Ansys Discovery 2020R1」までは「Discovery Live」、「Discovery AIM」、「Discovery SpaceClaim」それぞれについて、Discovery SpaceClaimを利用できるジオメトリ編集のモデリング用パッケージ「Ansys Discovery Essential」、SpaceClaimとLiveを利用してリアルタイムシミュレーションを可能とするシミュレーション用パッケージ「Ansys Discovery Standard」、SpaceClaimとLive、そしてAIMの3種類をすべて使用することで高忠実度シミュレーションを可能とする設計者向けフルパッケージ「Ansys Discovery Ultimate」の3パッケージで提供されていたが、これをAnsys Discovery 2020R2ではEssentialを「Ansys SpaceClaim」に、LiveとAIMを「Ansys Discovery」に抱合する形に変更した。ただし、現状段階ではAIMの機能の一部はまだ統合できていないとのことで、今後のリリースで統合を進めていくとしている。

  • Ansys Discovery
  • Ansys Discovery
  • Ansys Discovery 2020R1までの製品パッケージ構成とAnsys Discovery 2020R2からの製品パッケージ構成 (資料提供:アンシス・ジャパン)

2つのソルバーを1クリックで切り替え利用が可能に

Ansys Discovery 2020R2の最大の特徴が2つのソルバーを切り替えて利用することが可能になった点だ。メッシュレスで計算スピードを重視した従来のGPUソルバーである「EXPLOREステージ」と、CPUソルバーながら高い忠実度なAnsysソルバーである「ANALYZEステージ」を1クリックで切り替えることができ、これを2つのステージに共通したUI上で利用シーンに応じて使い分けることが可能となった。

  • Ansys Discovery
  • Ansys Discovery
  • 「EXPLOREステージ」と「ANALYZEステージ」を共通のUI上で1クリックで切り替えて利用することが可能に (資料提供:アンシス・ジャパン)

具体的には、従来のLiveがEXPLOREステージ、AIMがANALYZEステージで利用するイメージなのだが、EXPLOREステージからはさらに「MODELステージ(SpaceClaim)」にも移動することができるようになっているが、ANALYZEステージの利用には別途、構造解析向けには「Ansys Mechanical」、流体解析には「Ansys CFD」のPro以上のライセンスが必要になる。ただし、すでに解析向けにライセンスを保有しているのであれば、担当者が使用していないタイミングなどに、一時的にそのライセンスを利用することも可能だという。

  • Ansys Discovery

    ANALYZEステージを利用するためには「Ansys Mechanical」もしくは「Ansys CFD」のPro以上のライセンスが必要だが、すでに別部署などで有している場合は、それを一時的に借りて活用することも可能となっている (資料提供:アンシス・ジャパン)

このほか、同社の材料データベース「Ansys GRANTA」のライセンスを有している場合、GRANTAと連携し、材料データをもとにした解析を実行することができるほか、オートデスクの「Autodesk Fusion 360」のジェネレーティブデザインで生成されたデータ(SDZファイル)をインポート機能を活用して取り込んで解析することも可能になったという。

なお、アンシスでは解析のステージに応じて自社のソリューションを使い分けていってもらえれば、としており、今後は結果精度や解析コストに応じて、Discovery EXPLOREステージ、Discovery ANALYZEステージ、そしてFlagship製品(Fluent/Mechanical)といったアプリケーションの位置づけでユーザーに対してアピールしていきたいとしている。

  • Ansys Discovery

    Ansysの提供する各アプリケーションの位置づけイメージ (資料提供:アンシス・ジャパン)