Boschの子会社でセンサ事業を担当するBosch Sensortecは、Qualcommの技術統括子会社Qualcomm Technologiesの協力を得てMEMSセンサを活用するための2種類のソフトウェアを開発したと発表した。

Boschは、Qualcommと契約を結んで、Qualcomm Platform Solutions Ecosystemプログラム上の「Qualcomm Sensor Execution Environment(センサ実行環境)」というソフトウェア開発フレームワークを利用して今後もセンサ向けソフトの開発を継続し、スマートフォンやウェアラブル向けの高度な機能をセンサに付加していくとしている。

Bosch Sensortecが最初に開発したのはIMU(慣性計測ユニット)用の角度検出アルゴリズムで、これを用いると、角度センサ「BMI260」で折り畳み式スマートフォンのさまざまな状態を検出できるようになるという。

  • Bosch Sensortec
  • Bosch Sensortec
  • 折り畳み式スマートフォンのイメージとBoschの角度センサ「BMI260」のイメージ (出所:Bosch Sensortec)

もう1つ、Bosch独自の環境センシングアルゴリズムである「Bosch Sensortec Environmental Cluster(BSEC)」の改良版も開発したという。これによりBosch Sensortecの4-in-1環境センサ「BME680」で気圧、温度、相対湿度、および現在の空気品質の補正出力を直接計算できるようになり、同センサをスマートフォンなどのエンドデバイスへの統合が容易になったという。具体的には、Snapdragonモバイルプラットフォームにおいて、高度なセンサアルゴリズムを統合および最適化できるようになるという。

  • Bosch Sensortec

    ガス、圧力、湿度、温度センサを統合した複合センサ「BME680」 (出所:Bosch Sensortec)

「Qualcomm Sensor Execution Environment (センサ実行環境)」は、センサドライバとアルゴリズムを実行するためのソフトウェアフレームワークで、低電力ドメインでソフトウェアを実行し、パフォーマンスを最適化するように設計されているとのことで、これらのアルゴリズムは、QualcommのSnapdragonモバイルプラットフォームを使用してスマートフォンを開発している顧客が利用できるという。

BoschのBME680は、高直線性と高精度のガス、圧力、湿度、温度センサを統合した最初のガスセンサで、特定の動作モードに応じて、最適化された消費電力、長期安定性、および高いEMC堅牢性を提供するという。また、搭載されているガスセンサは、個人の健康のために空気の質を監視するために、揮発性有機化合物(VOC)などの広範囲のガスを検出可能だとしている。

なおQualcommは、2020年4月にディスプレイ大手の中BOEに超音波式3次元指紋センサ技術を供与し、次世代ディスプレイの共同開発に関する契約も取り交わしているが、今回のBoschとの契約もスマートフォンの周辺技術を提供することで、本業のSnapdragonの売り上げを伸ばそうという作戦に沿ったもののようである。