キーサイト・テクノロジーは5月18日、8つの計測器の機能を備え、かつ6GHzの8つのアナログチャネルと16の同時デジタルチャネルを備えたミクスド・シグナル・オシロスコープ「Infiniium MXRシリーズ」を発表した。

  • Infiniium MXRシリーズ
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  • Infiniium MXRシリーズ
  • 「Infiniium MXRシリーズ」の外観

5Gの商用化や、さまざまな機器でのバッテリの活用など、高速通信や電力制御のニーズはデジタル化社会の進展とともに高まり続けている。そのため、そうした機器の開発における計測手法としても、パワーインテグリティの問題への対応や、デジタルとRFのクロスドメイン計測が求められるようになるなど、変化が生じている。

MXRシリーズは、そうした市場の変化に対応することを目的とし、開発期間の短縮を可能とするべく開発された同社のミッドレンジオシロに位置づけられる製品群。すでに同クラスに同社はInfiniium Sシリーズを提供しているが、Sシリーズは帯域8GHz対応品が存在しており、2つのシリーズを同クラスで提供していく形となるという。

  • Infiniium MXRシリーズ

    「Infiniium MXRシリーズ」は、ミッドレンジクラス(これまでのInfiniium Sシリーズ)にローエンド、ハイエンドオシロそれぞれの特徴を組み合わせた新シリーズとして投入される

搭載されている8つの計測器の機能は以下のとおり。

  • リアルタイム・スペクトラム・アナライザ(RTSA)
  • オシロスコープ
  • デジタル電圧計(DVM)
  • 波形発生器
  • ボード線図プロッター(FRA:周波数応答解析)
  • カウンタ
  • プロトコルアナライザ
  • ロジックアナライザ
  • Infiniium MXRシリーズ

    「Infiniium MXRシリーズ」が提供する8つの計測器の各概要

このほか、モニタも15.6型フルHDとなっており、同社が原稿で提供しているオシロスコープとしてはもっとも大きく、かつ高解像度となっている。

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  • 「Infiniium MXRシリーズ」の概要

また、MXRでは同社のオシロスコープとして初となる機械学習を用いてオシロスコープの波形解析結果を自己学習し、その学習データを元に、逸脱した波形などを自動的に検出してくれる「フォルトハンター(異常検知)」機能も標準で搭載。これはハイエンドオシロスコープのInfiniium UXRシリーズにも用いられており、MXRにも搭載されている独自のハイエンドASICのパフォーマンスがあって初めて実現できた機能であると同社では説明しており、将来的にはUXRシリーズでも提供される予定だという。

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    フォルトハンター(異常検知)」機能の概要

さらに、MXRシリーズは、各機能をモジュール形式で搭載しているため、例えばオシロスコープの帯域が500MHzであっても、オプションを活用してRTSAのみ6GHzにアップグレードするといったことも可能だという。このアップグレードオプションにはチャネル数の増加もあり、4ch品を8ch品にアップグレードすることも可能だという(このアップグレードのみ引き取りにて対応、それ以外はソフトウェア制御で対応とのこと)。

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    RTSAの概要

このほか、在宅勤務など離れた場所からでも測定終了後に分析やデータ操作などを実行可能な「PathWave Infiniium Offline Analysisソフトウェア」も提供されており、同社では90日間の無償評価期間を用意しているので、新型コロナウイルスの感染拡大により、リモートワークを行う必要がある環境の人などにも試して使ってもらいたい、としている。

なお、価格は500MHz/4ch品で290万円(税別)程度からとしており、すでに受注ならびに出荷は可能となっている。

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  • Infiniium MXRシリーズと提供されるオプション一覧