ソニーならびにソニーセミコンダクタソリューションズは、産業機器向けSWIR(短波長赤外)イメージセンサとして、InGaAsを用いて5μm画素を実現した1/2型(有効134万画素)品「IMX990」ならびに1/4型(有効約34万画素)品「IMX991」を商品化することを発表した。
産業機器分野では、省人化や不良品監視などの用途に向け、非可視光である短波長赤外帯域の撮像が可能なイメージセンサの需要が高まっている。しかし、従来のSWIRイメージセンサは、画素の微細化や多画素化が困難であること、ならびに可視光帯域での低感度、アナログ出力といった要因から活用があまり進んでこなかった。
今回開発された2製品は、受光部のフォトダイオードを形成するInGaAs層と、読み出し回路を形成するSi層を接合する際、Cu-Cu接続を用いることで画素ピッチの縮小に成功。これにより5μmの画素サイズを実現したという。
また、独自のSWIRイメージセンサ技術を活用し、可視光を吸収してしまう表面のInP層を薄膜化することで、その下のInGaAs層まで光を透過させることに成功。これにより、可視帯域においても高い量子効率を実現したとのことで、波長0.4μm~1.7μmまでの広帯域における撮像も可能になったとのことで、システムの低コスト化や画像処理負荷の軽減による高速化が可能となり、検査対象範囲の拡大を実現することができるようになるとしている。
さらにデジタル出力に対応することで、現行の産業機器向けCMOSイメージセンサと同等の機能性を実現したともしており、これによりカメラ開発にかかる工数削減や、多機能カメラの開発が容易になるともしている。
なお、2製品ともに電子冷却素子内蔵セラミックPGAパッケージ品ならびにセラミックLGAパッケージ品が用意されており、サンプル価格は40万円(税別)から、2020年6月より順次サンプル出荷が開始される予定となっている。