半導体市場動向調査会社である台湾TrendForceは4月29日、従来、2桁成長としていた2020年のファウンドリ市場の成長率予測を、前年比5~9%増に引き下げたことを明らかにした。世界全体で見た場合で新型コロナウイルスの感染を封じ込めていないため、市場の回復が不透明になってきたためであるとしている。

ファウンドリ最大手のTSMCも4月中旬に2020年のファウンドリ市場全体の成長率について、従来予測の前年比17%増から同7~13%増へと引き下げるなど、各社のファウンドリ市場の予測も当初の2桁成長予測から1桁へ引き下げる動きを見せている。

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    ファウンドリ市場規模の推移と2020年予測 (出所:TrendForce)

TrendFoeceの最新の調査によると、ファウンドリのクライアント各社は2019年第4四半期から在庫の積み増しを図っており、その需要から2020年第1四半期は各社業績を維持できたという。また、第2四半期については、新型コロナウイルスの感染拡大により、受注は多少減るとみられるが、受注調整はそれほど大きくないことから、第1四半期比で若干下がったとしても前年同期比ではプラス成長になるとの見方を示している。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の縮小によって消費者の購買力が下がってきているが、長期的には5Gインフラ構築、通信用サーバやデータセンターの拡張、産業オートメーション用IoTの成長など潜在的なプラス要因も大きいといえる。ただし、消費者市場は当分冷え込むため、これら成長分野の売り上げが消費者市場の落ち込みを補うことは当分困難なので、ファウンドリメーカーは今後の需要動向をしっかり見極めながら対応していく必要があるとTrendForceは指摘している。