アメテックは2月10日、電気自動車(EV)である日産リーフの使用済みリチウムイオン電池モジュールにどの程度の充電能力が残っているのかなどを調べるグレーディングにかかる時間を従来の3時間から3分に短縮するアルゴリズムを開発したと発表した。

同アルゴリズムは、英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)が資金の一部を提供した「UK Energy Storage Laboratoryプロジェクト」の成果で、同プロジェクトには日産自動車、英国ウォーリック大学の研究・教育機関「Warwick Manufacturing Group(WMG)」、AMETEK、Element Energyの4者が参加。50個の日産リーフの電池を用いて研究開発が進められ、電気化学インピーダンス分光法(EIS)をベースに、EISの事前の経験や知識が無くても、日産リーフの電池モジュールのSoH(初期の充電量と経時劣化後の充電量の比率)を信頼性高くかつロバストに決定できるものとして開発されたという。

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    プロジェクトの概要

すでに同アルゴリズムは、同社のバッテリーアナライザ製品「Solartron Analyticalファミリ」のフラッグシップモデルとして2019年10月より提供されている「SI-9300R」に搭載が可能となっており、これによりセカンドライフ(リユース)電池ビジネスの参入障壁を低減できるようになると同社では説明している。

SI-9300Rは、バッテリーアナライザモジュールごとにインピーダンス測定が可能な電圧10V、電流300A(瞬時)/200A(連続)の電力容量を有した独立した5つの測定チャネルを備え、19インチラックに最大8モジュール(最大40測定チャネル)を搭載することが可能ながら、エネルギー回生技術の活用により機器の冷却に必要な電力消費と設置スペースの削減の両立を実現。これにより、従来の非回生型充放電装置に比べ、単位面積当たりのテストチャネル密度を最大4倍向上しつつ、電力消費を最大90%削減することが可能になったという。

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  • SI-9300Rの概要と搭載アルゴリズムの特徴。42Uラックと24Uラックの2種類の高さが用意されている

また、各測定チャネルは、独立した周波数応答アナライザ(FRA)を搭載することで、一般的な市販のチャネル切替型の装置に比べ、インピーダンス測定時間の短縮を可能としたほか、インピーダンス測定データをリアルタイム解析機能と組み合わせることで、各々の電池セルのインピーダンス測定条件を最適化し、全体のテスト時間を短縮することも可能にしたとする。

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    SI-9300Rの主要機能の1つである電極/電解液界面を解析する際のインピーダンス分光法(電気化学インピーダンス分光法、Electrochemical Impedance Spectroscopy:EIS)の概要

さらに、インピーダンス測定に加えて、CC-CV、定電力、定抵抗などの充放電、サイクリックボルタンメトリーのステップなど、電池の解析に有用な測定テクニックをサポートしており、ミッションクリティカルなUPSデバイスなどのエネルギー貯蔵向けの電池に対するハイブリッドパルス電力特性(HPPC)にも対応しているという。

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    SI-9300Rのパネル画面イメージ

なお、アメテックはSoH推定アルゴリズムの開発を今後も継続して行っていく予定としており、2020年中にもWMGにおいて工学博士プログラムを開始する計画で、自動車メーカーが使用するパウチ型、角形、円筒形などすべての電池に対応するアルゴリズムの開発を行っていくとしている。また、今回のアルゴリズムと同様の手法が、48Vの電池モジュールにも適用できることも研究成果として得ており、将来的には電池パック内の電池モジュールの状態監視に応用する事業を展開していくことも検討しているという。

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    SI-9300Rの利用イメージ