韓国産業通商資源部(日本の経済産業省に相当)の成允模(ソン・ユンモ)産業通商資源部長官は仕事初めとなった1月2日、半導体・ディスプレイ材料メーカーであるSoulbrainの半導体用超高純度フッ化水素製造プラント(忠清南道公州市)を視察し、「素材・部品・装備メーカーが産業を心強く支えてくれるエコシステムを構築し産業強国を実現していく」と述べるなど、フッ化水素の安定供給に向けた取り組みを国を挙げて進めていることを強調した。

Soulbrainは、原液輸入を台湾や中国に切り替えたうえに、昨秋、高純度フッ化水素製造プラントを増設し、供給量を倍増させることに成功したという。また、韓国政府は同日付で、日本政府が2019年7月に輸出管理の強化を行った半導体材料「フッ化水素」について、「韓国内の化学メーカーがプラントの新設や増設を行って国内で大量生産できる体制を確立し供給の安定性が確保された」というコメントを発表したほか、企業名を明らかにしていないが、「(日本政府による輸出管理強化の対象となっている)フッ化水素ガスやフッ化ポリイミドについても韓国内に新しいプラントが完成した」と発表している。著者が調べたところによれば、いずれもSK Hynixを傘下に抱えるSKグループの化学素材メーカーであるSK MaterialsとSKCで、2020年の春から量産を始める予定であるという。

  • ソン・ユンモ

    韓国Soulbrainの高純度フッ化水素製造工程を見学する成允模(ソン・ユンモ)韓国産業通商資源部長官(中央) (出所:韓国政府産業通商資源部Webサイト)

また、韓国でのこうした動きを見た半導体業界関係者によると、「日本の素材メーカーへの打撃が長期化する可能性がある」と指摘している。

なお、韓国政府は素材・部品・装備分野の2020年度(1～12月)予算を前年比2.5倍となる2兆1000億ウォンとし、100大戦略品目を中心に、技術開発から量産までを補助金などで支援する政策を発表しており、こうした動きを背景に今後、韓国政府による外国企業の誘致や韓国企業によるM&Aも増加すると予想される。