東京エレクトロン デバイス(TED)は12月19日、Cerebras Systemsと国内販売代理店契約を締結し、Cerebrasの超高速ディープラーニングシステム「CS-1」の受注を開始したことを発表した。

CS-1はCerebrasが開発した300mmウェハを丸々利用した21.5cm角のディープラーニング向け巨大半導体「WSE(Wafer Scale Engine)」を搭載することで、GPUベースのシステムと比べて学習時間を短縮することを可能とするAI学習システム。15Uのシステムで、1システムあたり1WSEが搭載され、消費電力は20kW。WSE1枚あたり40万個+αの積和演算を実行するコアと、18GB(1コアあたり45KB)のSRAMを実装しており、発熱については、水冷機構を搭載することで対応している。

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  • WSEの概要

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  • CerebrasのAndy Hock氏。手に持っているのがWSEのチップ。100円玉と比べると、その大きさが分かる

CerebrasのDirector,Product ManagementであるAndy Hock氏は、「CPUやGPUに比べて、けた違いの性能を提供できる。その結果、ディープラーニングを使って学習させる時間が、短時間化でき、結果として、いろいろなアイデアを試すことができるようになる」と、その性能について説明する。

TEDは、2017年よりCerebreasと交渉を水面下で進めてきており、今回、CS-1の出荷が始まったことから、正式に代理店契約を締結することに至ったという。これまでもTEDでは、半導体のみならず、最先端のITプラットフォームをソフトウェアを含めたソリューションとして提供してきたこともあり、CS-1についても、単にハードウェアを提供するのみならず、ソフトウェア開発なども含めたサービスの提供を進めていく予定としている。

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  • CS-1の概要。利用するためのソフトウェアも提供されるほか、TEDとしては、ほかのシステムなどと組み合わせたソリューションとして提供していく予定としている

具体的には、2020年に「TED AI Lab(仮)」と銘打ったAIに関するエンジニアリングサポートなどを行う拠点を設置。2020年第1四半期中に、そこにCS-1の初ロットを購入、設置を行い、春以降にデモや有償PoC、コンサルテーション、AIサービスに関する構想などのさまざまなソリューションの提供を行っていくとしている。

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    TED AI Labの概要

主なターゲットとしては、Webサービサーやインターネット企業、研究機関、学術機関のほか、自動運転のサービスメーカーなどとしており、こうした取り組みを通じて、3年間で100億円の売り上げを目指すという。

なお、すでに何社かの国内企業がアーリーアダプタとしてCerebrasが米国で提供しているCS-1にネットワークに接続して評価を行っているとのことだが、今後は、そうしたアーリーアダプタもTED AI Labに接続して利用するといったことになる可能性もあるという。

Hock氏は、「CS-1は始まり。このAIに対する需要が大きくなっている時代において、我々としても新製品の開発を進めていく必要性を感じている」と述べており、CS-1の提供による事業の拡大と併せて、先端プロセスへの移行や、3Dスタックなど、次世代製品の実現に向けた研究開発を進めていくとしており、AI処理の高度化に向けて、けん引していく立場を狙っていきたいとしている。