市場動向調査会社の英IHS Markitは12月5日(欧州時間)、2019年第3四半期の半導体企業ランキングトップ10を発表。それによると、ソニーがついに日本企業として唯一となるトップ10入りを達成したという。
第3四半期の市場成長率は前年同期比14.7%減
2019年の第3四半期の半導体市場は前年同期比14.7%減の1113億ドルとなった。また、同第2四半期が同15.3%減、同第1四半期も同12.4%減を記録しているほか、メモリ市場は、2019年1~9月までの期間で、前年同期比34.4%減と大きく後退。第4四半期に入り、メモリ市場は回復傾向となってきてはいるものの、半導体市場全体の停滞は続いており、その結果、市場規模は前年同期比7%減と、やはりマイナス成長になるとの予測から、IHSでは通年の半導体市場も前年比12.4%減と2桁のマイナス成長に陥ると予測している。第3四半期以降、メモリ分野で回復の兆しが見え始めてきたものの、通年でみるとメモリ価格の大幅下落などによる影響が大きいためであるという。
IHS MarkitのシニアリサーチアナリストであるRon Ellwanger氏は「メモリの売上高は、過剰な在庫とクラウドおよびエンタープライズサーバビジネスからの需要の弱さによって、第3四半期は前年同期比ではマイナス成長となったものの、前四半期比で見るとプラス成長となっており、メモリ市場の状況としては徐々に回復してきているといえる」と述べている。
企業ランキングトップ10に日本企業が返り咲き!
第3四半期のランキングトップは、前四半期比16.3%増を達成したIntel。SSDおよびメモリ市場でも成長を遂げており、当該分野の成長率は前四半期比37.2%増と大きく成長している。
IHS Markitの主席アナリストであるVladimir Galabov(ウラジミール・ガラボフ)氏は「Intelは、すべての応用分野で好業績をあげている。特にワイヤレス分野の好業績が目立つ。Intelは、デバイス向けのモデムとセルラー基地局向けにFPGAおよびASSPを供給しており、同社はこの分野で上向きの需要の恩恵を享受している」と述べている。
日本企業としてトップ10には唯一、ソニーの半導体子会社ソニーセミコンダクタソリューションズがランクインした。
同社の第3四半期業績は前年同期比27.1%増で、前四半期比でも41.5%増と高い成長率を達成。その結果、順位が前四半期の15位から一気に6位に駆け上がり、トップ10入りを達成した。ソニーがトップ10入りを果たすのは史上初で、IHSでは同社を今年の半導体市場における「輝かしいスター(Shining Star)」と表現している。
ソニーのCMOSイメージセンサビジネスは、スマートフォンそのものの売上増加と、ハイエンド端末を中心に複数カメラ搭載の流れを受けて盛況を呈している。また、現在、同社はさらなる増産を実現するための設備投資を進めており、長崎テクノロジーセンタ―の隣接地に新たな量産ファブの建設をまもなく開始する予定で、生産量の増加によるさらなる売り上げの拡大を目指すとしている。