米国半導体工業会(SIA)は12月3日(米国時間)、2019年10月度の半導体市場が前月比2.9%増、前年同月比13.1%減の366億ドルとなったことを明らかにした。

4か月連続の前月比プラス成長を達成

SIAのプレジデント兼CEOであるJohn Neuffer氏は、「2019年の世界の半導体市場は、2018年の(メモリバブルによる)記録的な売上高と比較してやや落ち込んでいるが、直近の4か月は連続して前月比増を記録しており、売り上げのカーブは上向いている。グローバルの半導体市場は2019年に2桁減となるものと予測されるが、その後の2020年と2021年には緩やかな成長に転じることが見込まれる」と述べている。

  • SIA

    半導体市場の月間売上高と前年同月比の推移 (WSTS集計データを基にSIA作成)

10月度の売上高を地域・国別にみると、すべての主要な地域市場で前月比で増加を記録。具体的には米州が同8.6%増、中国が同2.9%増、日本が同1.0%増、欧州が同0.5%増、アジア太平洋/その他が同0.4%増という具合である。しかし、前年同月比では、すべての地域で売上高が減少となった(米州が同27.1%減、中国が同10.2%減、日本が同9.3%減、欧州が同7.3%減、アジア太平洋/その他が同7.4%減)。

また、同日SIAが承認したWSTS2019年秋季予測では、2019年の半導体市場は前年比12.8%減の4090億ドルと示され、すべての地域でマイナス成長となると予想されている(欧州が同6.9%減、アジア太平洋が同8.8%減、日本が同11.1%減、米州が同26.7%減)。

  • WSTS

    国・地域別の半導体売上高の推移 (出所:WSTS)

2020年、半導体メモリ市場は緩やかな回復へ

半導体市場の動向に関して、WSTSは以下のような公式見解を発表している。

「2018年の世界半導体市場は通年では前年比13.7%増と高成長であったが、年後半から年末にかけては米中貿易摩擦など世界経済の先行き不透明感から市場は急激に悪化した。2019年もこうした流れを引き継いで年初から半導体市場は前年割れで推移している。市場への影響力の大きいスマートフォンなど実需面での低迷に加え、前述した先行き不透明感が根強く急回復は期待出来ないことから、通年で前年比12.8%減と2桁のマイナス成長を予測した。2桁のマイナスはITバブル崩壊直後の2001年以来となる。2020年は、世界経済の更なる悪化を想定しなかったことに加え、5Gの立ち上がりやデータセンタ関連投資の回復、次世代ゲーム機の登場などに期待し、前年比5.9%増とプラス成長に回帰すると予測した」

なお、US$1に対する円の為替レートは、2018年:110.4円、2019年:108.4円、2020年は106.8円を前提としている。

2019年における製品別市場(ドルベース。為替レートは2019年が1ドルあたり108.4円、2020年は106.8円を想定)は、ディスクリート半導体(パワートランジスタを含む)が前年比0.6%増の240億ドル、オプトエレクトロニクス(CISを含む)が同+.9%増の411億ドル、センサが同2.0%増の136億ドル、IC全体が同16.0%増の3303億ドルとWSTSでは予測している。ICの製品別では、メモリが同33.0%減、ロジックが同4.3%減、マイクロが同2.3%減、アナログが同7.9%減と予測している。

また、2020年は、ディスクリートが同3.8%増の249億ドル、オプトが同12.5%増の62億ドル、センサが同5.4%増の144億ドル、IC全体が同5.2%増の3476億ドルと予測している。ICの製品別では、メモリが同4.1%増、ロジックは同6.5%増、マイクロが同4.9%増、アナログが同5.3%増という予測となっており、中でも過去3年にわたって乱高下したメモリ市場の回復はきわめて緩やかな見込みだという。

なお、2018年の日本の半導体市場は円ベースで、同7.5%増の約4兆4,126億円であったが、2019年は同12.7%減の3兆8521億円となるとWSTSはみているほか、2020年には同1.7%増の約3兆9162億円になると予測している。