京セラとライオンは、ソニーが展開するスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラム「Sony Startup Acceleration Program(SSAP)」を通じて、子供向け仕上げ磨き専用ハブラシ「Possi(ポッシ)」を開発したことを発表した。

  • Possi

    Possiの開発に関わった(左から)ライオン研究開発本部イノベーションラボの萩森敬一氏、京セラ研究開発本部 メディカル開発センターの稲垣智裕氏、ソニーStartup Acceleration部の宮崎雅氏

Possiの開発コンセプトは、「子供が嫌がる歯磨きを楽しい時間に変える」というもの。電気信号を振動(音)に変え、スピーカーとして活用できる京セラの圧電セラミック素子を歯ブラシのヘッド部分に埋め込むことで、歯にブラシが当たった際に、振動(音)が歯に伝わる間、音楽を聞くことができる仕組みとした。

  • Possi
  • Possi
  • Possiの名前の由来と、使い方のイメージ

この取り組みは、京セラがソニーが展開するSSAPの社外向け第1号案件として、ソニーにプロジェクトチームを送り込んで実現したもの。プロジェクトそのものは2018年10月よりスタート。2019年1月より、プロジェクトの掲げるコンセプトに共感したライオンも参画し、実用化に向けた開発が進められてきた。また、デザインにはソニーのクリエイティブセンターが協力、幅広いコンテンツを有するソニーグループの強みを活かし、Possiをテーマとした楽曲なども提供されるほか、しっぽをモチーフとしたマスコットキャラクターも作られるなど、エンタテインメント性も兼ね備えるものとなったという。

  • Possi

    Possiの開発支援としてデザインやキャラクター、コンテンツなど幅広い側面支援をソニーが行った

Possiの構造は、見た目的には至ってシンプル。電池やデジタル駆動アンプといったハードウェアを内蔵しつつ、握りやすさなどを考慮したグリップ部と、音楽に合わせて振動する圧電セラミック素子を搭載したヘッド部(電動歯ブラシほどの振動は得られず、あくまで音楽を伝えるための振動)で構成され、グリップ部には、音楽の再生を意図的に止めることができるミュートボタンと、Possiの電源オン/オフの機能を兼ね備えたオーディオジャックが備えられている。

  • Possi
  • Possi
  • Possi
  • 京セラ、ライオン、ソニーそれぞれが持てるノウハウを提供することでPossiが生み出された

最近流行のBluetoothによる無線通信ではなく、有線通信としたことについては、事前のテストマーケティングの際の反応として、利用者からは有線でも問題ないという評価を受けたこともあり、「何にでもつながる」ということを優先した結果だという。また、Possiの駆動は単5電池2本となっており、リチウムイオン2次電池のような充電値は採用されていない。ハードウェア的に考えてみれば、音楽のやり取りは、Bluetoothの通信モジュールを限られた筐体の中に入れ込む必要があること、乾電池駆動なので、動作時間が厳しくなること、などが考えられるほか、充電池にしなかったのは、充電をするためのポートや、ワイヤレス充電の場合は防水対応のトランシーバ部とレシーバ部を用意しなくてはいけないこと、そしていずれにせよコストの上昇が避けられないこと、といった問題が考えられ(充電池に関しては爆発などの安全面も考慮した結果だとするほか、単5乾電池にした理由としては、100円ショップで入手しやすくなってきたためとのこと)、販売形態がソニーが運営するクラウドファンディングサイト「First Flight」での支援募集という形であることから、価格を下げられるだけ下げる必要があったことがうかがえる。

  • Possi
  • Possi
  • Possi
  • Possi
  • Possi
  • Possi
  • Possi
  • Possi
  • Possi
  • Possi
  • Possiの最終デザインモック

  • Possi
  • Possi
  • Possiの動作確認用の試験機。最終版のデザインとはミュートボタンの形状が異なる。最終版のモックには、モックのため電池用のスリットは無いが、実際の製品には試験機のような本体を空けるためのスリットが入るそうだ

First Flightでは7月3日の昼よりPossiの支援サイトをオープンさせており、ポップ、アクア、ピュアの3色展開で、価格は先着100セット(各色)が1万4800円、通常価格は1万7500円としている。

セット内容は本体(ポッシ1匹)と替えブラシ3本(ポッシのしっぽ3本)、単5電池2本、オーディオケーブル、ポッシの置き台となっており、ブラシ1本あたり1ヶ月の利用を想定。電池も1日2回、1回あたり2分の使用で1ヶ月の動作を想定しており、4ヶ月あれば、子供の仕上げ磨きに対する意識を変えられるとの見方を示す。

なお、クラウドファンディングでの目標金額は2000万円。未達の場合、不成立ということでPossiの販売は見送られ、支援者には全額が返金される予定。逆に無事に成立されれば、今後の一般販売に向けた検討が進められることとなり、替えブラシのみの販売などにつながる可能性が高いという。

ソニーとしては、SSAPはオープンイノベーションという手法を実現するための取り組みであり、すでに京セラのような大手企業のほか、スタートアップ、大学、NPOなどさまざまな企業、団体が参加しているが、今後はさらにそうした取り組みの加速を図っていきたいとしており、より多くの人たちとのコラボレーションの実現を目指した取り組みを進めていきたいとしている。

  • Possi

    SSAPの概要

First FlightでのPossiの支援者募集期間は7月3日から9月3日までの62日間となっている。

Possi~ハミガキだって、遊びたい~ 京セラ×ライオン