テクトロニクス社は6月4日、同社のオシロスコープラインアップとして、11.6型フルHD(1920×1080画素)静電容量方式タッチスクリーンディスプレイを採用した「3シリーズMDO」ならびに13.3型フルHD(1920×1080画素)静電容量方式タッチスクリーンディスプレイを採用した「4シリーズMSO」を発表した。

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    左が4シリーズMSOの最上位モデル「MSO46」の周波数帯域1.5GHz、6.25GSps対応品。右が3シリーズMDOの最上位モデル「MDO34」の周波数帯域1GHz、5GSps品

3シリーズMDOは、同社のMDO3000シリーズの後継機種としてエンジニアのベンチにおけるコンパクト性と汎用性を目指して開発されたもので、筐体サイズ252mm×370mm×149mm、5.3kgと可搬が可能な小型サイズながら、独立したRF入力のほか、最大3GHzのスペクトラムアナライザがオプションとして用意されており、これを活用することで単体で無線コンポーネントのデバッグや、EMIエミッションの原因特定などを可能とする。

また、ミクスド・シグナル解析には16chのデジタル入力の利用が可能なほか、オプションで、幅広い種類のシリアル・プロトコルのデバッグ/トリガ機能、パワー解析機能、AFG機能も用意されている。

同シリーズには2chの「MDO32」、4chの「MDO34」が用意されており、それぞれ周波数帯域100MHz/200MHz/350MHz/500MHz/1GHzの製品が用意されており、これら周波数帯域と各種のオプション品は利用環境に応じて適宜アップグレードすることが可能となっている(1GHzの場合のみ、サービスセンターでの預かりアップグレード対応)。

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  • 3シリーズMDOの概要

一方の4シリーズMSOは、同程度の性能クラス最大級の13.3型タッチスクリーンディスプレイを採用することで、ユーザビリティを向上させたモデル。

5シリーズと同様のADCならびにDSPを搭載した40nm RF CMOSプロセスを採用したミクスドシグナルASIC「Tek049」を搭載することで、周波数帯域も200MHz/350MHz/500MHz/1GHz/1.5GHz、サンプルレートも1chあたり6.25Gsps、標準レコード長は各チャネルあたり31.25M(オプションで62.5M)、A/Dコンバータ(ADC)の分解能は12ビットと、基本性能については、一部は上位の5シリーズと同等、ほかの部分についてもそれに迫るパフォーマンスを実現しているほか、付帯機能としても、ネットワーク経由で別PCやタブレットなどのWebブラウザ上から操作したり、といったことも先行する5シリーズなどと同様、可能となっている。

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  • 4シリーズMSOの概要。ちなみに3シリーズはMDO3000シリーズの後継という位置づけだが、4シリーズはMSOであるため、MDO4000シリーズの正当な後継という位置づけではない(いずれも併売されて製品としては残る)

今回の3シリーズMDO、4シリーズMSOの発売により、すでに発売済みの5シリーズMSO、6シリーズMSOと、同一のインタフェースで必要とする機能や性能に応じて選択することが可能となった。同社でも、「従来のオシロスコープ性能や、機能を安く求める場合は3シリーズを、より高い分解能、柔軟性が必要な場合は4シリーズを、高度な計測機能やコンプライアンス的にOSがWindowsである必要性がある場合(いずれのシリーズも基本OSはLinuxベース)などは5もしくは6シリーズを選択する、といった形で考えてもらえれば」と、ラインアップの違いについて説明している。

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    3シリーズMDO/4シリーズMSOの発表に併せて説明を行ったTektronixオシロスコープ事業部プロダクト・マーケティング・ディレクタのDave Slack氏(左)と、テクトロニクス代表取締役のKent Chon氏(右)

なお、3シリーズMDO、4シリーズMSOともにすでに販売を開始しており、3シリーズMDOは50万9000円(税別)から、4シリーズMSOは99万7000円(税別)からの提供となっている。

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    3シリーズ/4シリーズ/5シリーズ/6シリーズ、すべてのインタフェースがほぼ同じ。そのため、使い勝手は変らず、用途や要求性能、価格に沿って、タッチ対応オシロスコープを選んで購入することができるようになった