米Gartnerは4月11日(米国時間)、2018年の半導体市場(最終確定版)を発表した。それによると、2018年は前年比12.5%増の4746億ドルに達したが、成長率は2017年の前年比21.9%増には届かず、勢いが落ちる結果となった。

Gartnerは、2019年年初に発表した、2018年の半導体市場の速報値(2018年第3四半期までの実績値に基づく推定値)においては、前年比13.4%増の4767億ドルとしていたが、2018年末のメモリ価格の下落が予想より大きかったことから、第4四半期の実績値を含めた最終版では、同12.5%増に留まった。

Gartnerの調査担当バイスプレジデントのAndrew Norwood氏は、「メモリ市場の成長は鈍化したとはいえ、半導体市場全体の34.3%を占める巨大市場である。2018年のほとんどの期間でDRAMの平均販売価格が高騰したことによるところが大きい。しかし、第4四半期から、DRAMは供給過剰状態に陥り、価格が急落し始めており、2019年のほとんどの期間にわたり低下し続ける見込みである」と述べている。

日本企業が消えた半導体企業ランキングトップ10

Gartnerは今回、半導体企業の売上高ランキングトップ10の最終確定版も発表している。

  1. Samsung Electronics
  2. Intel
  3. SK Hynix
  4. Micron Technology
  5. Broadcom
  6. Qualcomm
  7. Texas Instruments
  8. STMicroelectronics(年初暫定版では9位、2017年版では11位)
  9. Western Digital(年初暫定版では8位、2017年版では9位)
  10. NXP Semiconductors

なお、東芝メモリは、暫定版の段階ですでにトップ10から消えてしまっていた一方で、パートナーのWestern Digitalは9位にとどまっているのが注目させる(同社は、暫定版の段階では8位だったものが、2018年第4四半期の予想を上回るNAND価格の下落により、最終版では9位となった)。

  • 2018年 半導体企業ランキングトップ10

    2018年の半導体企業ランキングトップ10 (出所:Gartner)

1位のSamsung ElectronicsはDRAM価格の高騰の恩恵を受けて、2位のIntelとの差を広げてトップの座を保った。同社の売り上げの88%がメモリによるものである。「Samsungの業績は文字通りシリコンという砂の上に形成された砂上の楼閣である。2019年にはメモリ価格急落によりIntelにトップの座を奪われることになる可能性が高い」とNorwood氏は見ている。

とはいえ2位のIntelも、10nmプロセスの導入が大幅に遅れており、ノートPC向けローエンドのCPU供給が不足状況が続いている。また、3位のSK Hynixはトップ10中でもっとも高い成長率を達成している。

ランキングトップ10の変遷から見る日本勢の凋落

以下の表は、Gartnerはじめ市場調査会社各社のデータを基に作成した1990年から2015年までの25年間の5年ごと、および直近の2018年の半導体企業の売上高ランキングトップ10である。

日本企業は赤字で表示したが、日本の半導体企業の売上高が世界市場の約5割を占めてDRAM全盛だった1990年は、トップ10中6社を占めていた。それが1995年には松下電器(現パナソニック)がトップ10から脱落し5社に減った一方、Intelがトップに躍り出るとともに、Samsung が6位に急浮上してきた。

1999年になると、日立とNECのDRAM事業が統合しエルピータメモリが誕生。富士通や松下電器がDRAM事業から撤退した影響から、2000年のランキングにて日本企業は東芝とNECの2社に減った。ちなみに、三菱は11位、日立は12位、富士通は15位に後退している。その後、2002年に三菱と日立のシステムLSI部門が合併してルネサス テクノロジが誕生。2005年のランキングで5位に入った。

ルネサスは2010年にはNECエレクトロニクスと合併してルネサス エレクトロニクスとなり、ランキングからNECの名が消え、東芝とルネサスのみとなった。そして2015年には、業績が悪化したルネサスが消え、東芝のみとなり、2018年には、東芝がNAND事業を分離・売却し、東芝の半導体事業の売上高が東芝メモリと東芝デバイス&ストレージに分けられたことから、2社ともランク外となり、ついにランキングから日本企業名が消えてしまうこととなった。

  • 半導体企業ランキングトップ10の変遷

    半導体企業ランキングトップ10の変遷。赤字は日本企業、TI=Texas Instruments、 ST=STMcroelectronocs、 WD=Western Digitalの略 (DataquestおよびGartenrのデータをもとに著者作成)