宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月5日14時半ころ、小惑星探査機「はやぶさ2」に関する記者会見を開催し、同日実施した衝突装置(SCI)運用の速報結果について報告した。ホームポジションへ復帰する運用はまだ続いているものの、クリティカルな部分は無事完了。SCIの分離も確認されており、運用は概ね成功と言えそうだ。
発表された速報値は以下の通り。SCIとDCAM3の分離時刻はほぼ予定通りで、ゲート5の状況確認も正常に行われている。SCI運用はリスクも大きいミッションであるが、探査機はすでに小惑星から20km近く離れており、SCI爆発時の破片や小惑星からのイジェクタ(噴出物)が激突する心配はほぼ無くなった。
クレーター生成の確認は、今後ホームポジションに戻ってからになるが、重要なのは、SCIが正常に分離できたかどうかだ。今回、分離直後の画像が公開されており、分離の成功自体は確実。この画像を見た久保田孝スポークスパーソンによれば、分離の姿勢や速度も予定通りではないか、とのこと。分離が正常なら、命中する可能性は高い。
DCAM3の分離も正常に実施。DCAM3は事前の起動試験ができない設計だったため、分離でいきなり本番となったものの、11:50に通信が確立されたことを確認。通信状況が良好であることから、姿勢の乱れは無かった可能性が高く、「画像が撮れたことは確認した。写っているかどうかはともかく、何かは撮れているはず」(久保田氏)と期待した。
DCAM3分離後の退避行動も、ドップラー等を確認した範囲では全て正常。「完璧なミッションを今日もやってくれた」と久保田氏。完璧な成功かどうかは、クレーター生成の確認を待つ必要があるものの、これだけ複雑な運用を成功させたことで、「探査機を自由自在に動かせるようになった。今後の宇宙探査が大きく変わる」と自信を見せた。
この後、引き続き16時半からは、津田雄一プロジェクトマネージャによる質疑応答も実施される予定。