ソニーならびにソニーセミコンダクタソリューションズは3月18日、産業機器向けに歪みの無い高い撮像性能と小型化の両立を実現する独自の裏面照射型画素構造のグローバルシャッター機能を搭載した積層型CMOSイメージセンサー技術「Pregius S(プレジウス エス)」を開発したことを発表した。
従来の表面照射型画素構造のグローバルシャッター機能を搭載したCMOSイメージセンサーは、フォトダイオードの隣に形成したメモリー部に一時的に電荷信号を蓄えることで、行ごとの読み出し時間のずれによる画像の歪み(フォーカルプレーン歪み)を解消するなどのメリットがある一方、フォトダイオード上部の配線が入射光の妨げになることが、画素の小型化において課題となっていた。
今回ソニーは、裏面照射型でグローバルシャッター機能を実現する独自の画素構造を開発することで、小型化に向けた課題を解決。微細化に伴う感度や飽和特性の低下を防ぎつつ、画素サイズを従来の3.45μmから2.74μmに微細化することで、従来の有効1200万画素の表面照射型CMOSイメージセンサーに比べて、約1.7倍の2000万画素へと高解像度化を実現。これにより、製造・検査・物流などにおいて、対象物をより広範囲、高精度に測定・検査することが可能になるほか、裏面照射型画素構造が持つ配線レイアウトの高い自由度により、従来比約2.4倍の高速性を実現し、測定や検査工程の時間短縮などの生産性向上が可能になるという。
また、さまざまな信号処理回路を搭載できる積層型構造を活用することで、測定・検査画像の必要な部分だけの信号処理などを従来よりも小型で実現することが可能となるため、後段処理の負荷の軽減や、保持するデータ量の削減などを図ることができるようになると同社では説明している。
なお、同社では今後、今回開発した独自の裏面照射型画素構造のグローバルシャッター機能を搭載した積層型CMOSイメージセンサーを、積層する信号処理回路の派生展開なども含めて、さまざまな産業機器や高度道路交通システムなどへの採用に向けて商品開発を進めていくとしており、今回開発した製品は、2019年の夏以降にサンプル出荷を開始する予定としている。