--20周年ですね。エリア構成をシンプルにする一方で、別に思い切ったことを計画しているのでしょうか?

鹿野氏:今、それを作りたいと思って色々と動いています。まだ詳しくは言えませんが、2つの方向性が見えてます。1つ目は、CEATEC 2019は10月15日~18日にかけて幕張メッセで開催されますが、実はその翌週から東京ビッグサイトにて「第46回東京モーターショー2019」が開催されまる。スマートXというエリアを用意するといいましたが、「スマートファクトリ」「スマートホーム」など、さまざまなスマートな何かが想定されるなかで、スマートカー、いわゆるコネクテッドカーや自動走行の存在も無視できなくなってきまして、そうなると実は中身が近づいていく可能性が高まってきた。CEATECとモーターショー、この2つの大きなイベントをうまく相乗りさせたいなという思いでモーターショーの主催者である日本自動車工業会と色々と相談をしているところです。スマートな社会の1つとして、自動走行的なものをCEATECとしても1つの目玉に据えたいという思いはあります。

もう1つの方向性ですが、やはり20周年をいう歴史の意味といえば良いでしょうか。20年前の2000年代初頭をみると、デジタル家電として、これまで体験しなかった面白い製品が次々とでてきた。しかし、そのうち、デジタル家電が行き詰まりを見せて、家電というものが良くわからなくなってしまった。その間にITが進化してきて、そこからIoTやAIとシフトしてきた今の流れがあるわけですが、そうした背景もあり、家電という言葉を使いたくはないのですが、IoT家電の世界ということで、家庭の中の家電もこれだけ変わってきた、ということを見せていきたいとは思っています。

特にスマートホームはメーカーを超えて家庭内の機器がつながることが重要です。主催者の1つである電子情報技術産業協会(JEITA)でもスマートホーム部会を立ち上げるなど、官民一体となって進めている分野ですので、そうしたいろいろなモノがつながる家、というものをお見せできればと思っています。

  • CEATEC JAPAN 2018
  • CEATEC 2019
  • 左がCEATEC JAPAN 2018にキービジュアル。右がCEATEC 2019のキービジュアル。フォントの配置のほか、20thの文字が意匠としてあしらわれた。2020年のCEATECのキービジュアルはどうなるのか?というと、また微妙に変更が加えられる(20thの文字は少なくとも取られる)こととなる模様だ

そして実はもう1つ。CEATEC JAPAN 2018で手ごたえを掴んだのがコンファレンスです。キーノートスピーチとして、家電とはまったく関係のない企業4社のトップの方々に登壇していただきましたが、いずれも立ち見が出るほどの大入り満員となりました。

CEATEC 2019では、この経験から4日間キーノートスピーチをやっていきたいな、と意気込んでいますし、2020年を目前に控えていることもあり、パネルディスパッションする話題も5Gやフィンテックなど結構あると考えてまして、そうした魅力的なテーマの話題を業界をリードする企業のトップの人たちに語ってもらうことで、多くの来場者の方に、1日だけではなく複数日、会場に足を運んでもらえるようになるのでは、と期待しています。

--4日間、それだけ企業のトップの方々を集めるのは相当な労力がかかりそうですが、実現できるのですか?

鹿野氏:実は去年、ああいった形で4社のトップの方々が登壇してくれたので、あれを見た企業の方々などからは、「ウチのトップも興味をもってます」と言ってもらえる機会が増えてきてまして、コンファレンスも確実に、変化が広く波及してきていると感じています。 そのため、確かに目標値は高いのですが、反応そのものは実は去年よりも良いと感じています。その辺は、今までがCEATECのイメージを変えるための取り組みだったのが、今、潮目が変わってきていて、来場者や出展者が期待している質を高めていく施策に変わっていく段に到達したのかな、と思っていますね。

私の立場は、まさにこのキーノートに登壇してくれる方々との交渉もそうですが、そこにグローバルという色を入れていくというのも仕事として割り振られているので、海外企業を巻き込んだテーマや人選を実現したいと思ってます。

--開催が10月で、この取材が2月の半ばということを考えると、すべての座組みを完成させるのには、実はあまり時間がないですよね

鹿野氏:そうですね。ですので、今言ったことを絵に描いた餅にしないように取り組み、夏には、広く、その結果を示すことができるようにしたいと考えています。そのために、さまざまな方たちとコミュニケーションさせていただき、今のCEATECが目指しているCPSやIoTという方向性に共感してもらえるよう努力をしていこうと思っています。