キーサイト・テクノロジーは1月17日、日本の自動車分野の顧客へのサポート力強化を目的に、名古屋にオートモーティブ・カスタマー・センターを1月16日付で開設したことを発表した。

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    名古屋オートモーティブ・カスタマー・センターの様子 (画像提供:キーサイト)

同社のオートモーティブ・カスタマー・センターは、グローバルで展開している同社の戦略の一環で、70以上におよぶ自動車向けテストソリューションを顧客の課題解決に向けて活用することを目的として設置されるもの。すでに米国デトロイト、独シュトゥットガルト、中国・上海に設置されており、名古屋は4拠点目の設置となる。

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  • キーサイトのオートモーティブ・カスタマー・センター。名古屋は世界で4番目の拠点として開設された

キーサイト・テクノロジーの代表取締役社長を務めるチエ・ジュン氏は、名古屋に拠点を設置した背景について、「自動車に関わっている顧客に一番近い場所。そういう場所で、協調した取り組みができなければ、顧客に対して高い付加価値を提供できない。付加価値が提供できなければ、世界に先駆けて新製品やサービスを提供することは実現できない。これまでのように良い計測器を作って、それを使ってもらうだけでは、世界一になれない時代になった。変革期を迎えている自動車産業にはさまざまな課題が多く残されており、それをキーサイトとしても理解して、顧客とともに解決を行っていかなければ、顧客がグローバルで勝ち抜くための支援としては不十分」と述べており、例えば米国では2018年の1年間だけで840件の訪問があり、顧客の課題解決に向け、同社が擁する計測のエキスパートとの協業などが多数進められてきたとのことで、そうした取り組みが日本でも進められていくことを期待したいとした。

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  • eモビリティに向け、必要とされるすべての分野における計測をカバーできる、トータルソリューションを提供できる体制が整ったという

具体的に、同センターには4つの役割を持たせるという。1つ目は、新幹線の駅からも、中部国際空港からも近いことから、名古屋圏のみならず、アジア太平洋地域の顧客も訪れやすいというメリットがある名古屋という立地を生かし、アジア太平洋におけるキーサイトがグローバルで取り組んで蓄積してきた最先端の自動車開発における知識や技術、テストノウハウなどを顧客とシェアできる拠点とすることを目指すという点。2つ目は、顧客が持ち込むさまざまな課題に対して、どのようなテストを、どうやって実施していくのか、というトライアルを共同で試し、解決に向けた進め方をディスカッションしていく場としての役割。3つ目が、そうして顧客と共同で進めることを決めたテスト環境をターンキーソリューションとして構築する場としての役割。そして4つ目が、自動車業界に限らず、さまざまな分野に向けた計測器の提供などを通じて得た、テストの効率的な進め方についてのコンサルティングなどの、業務効率化を支援する場としての役割としている。

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    日本のオートモーティブ・カスタマー・センターから、アジア太平洋のオートモーティブ・カスタマー・センターとなることを目指す。そのためには大きく4つの価値の提供を行っていくとする

なお、エネルギー関連のサポートについては八王子本社で試験などを手がけているとのことだが、「これから先の自動車が必要とする技術はより複雑化していく。バッテリーやレーダーは別のチームが担当しているが、そうしたチームに属している専門家も、必要に応じて名古屋に赴いて、一緒に課題の解決にあたったりもする」と、名古屋の拠点を通じて課題の解決を図っていくことで、同社の直接の顧客のみならず、その周辺に連なる皆が繁栄していけることを意識したビジネスへと成長をしていければ、としていた。

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    オートモーティブのアプリケーション試験は名古屋で、エネルギー関連の試験は八王子本社で試験が行われる構成となる