テクトロニクス社は10月23日、新たな任意波形/ファンクションジェネレータ(AFG:Arbitrary Function Generator)として、AFGの新基準と銘打った9型静電容量式タッチパネルを採用した「AFG31000シリーズ」を発表した。
2000年初頭に同社が初めてAFG300シリーズを発表して以降、AFGはさまざまな電子回路のテストで活用されるようになったが、近年の電子回路の複雑化、高性能化の一方で、その評価や計測のためには、波形を生成し、立ち上がり時間やサンプリングレートを設定し、信号を印加する前にオシロスコープで実波形を確認、などと複雑な手順を踏む必要があり、手間がかかる作業となっていた。操作のためのインタフェースも、すべての操作がボタンで操作する必要があり、かつ小さなディスプレイで深いメニュー階層をもぐって、必要項目を選択するなど、そうしたハードウェア的な部分も、手間がかかる要因となっており、そうした機能改善が求められるようになっていた。
同シリーズは、こうした現場からのさまざまな要望をもとに開発されたもので、操作の大半を9型のタッチパネル上で実現することを可能にすることで、操作性の向上が図られた。また、性能面でも従来シリーズ比で向上しており、例えば波形生成ノイズは10分の1に、ジッタは40分の1に低減されたほか、メモリ長は1000倍ほど向上している。
さらに、機能面でもさまざまな追加・改良が施されている。9型タッチパネル上でピンチ、ズームといった作業はもちろん、「プログラマブル波形シーケンサ」を内蔵したことで、標準的なAFGの動作モードに加え、任意の波形をさまざまな条件を付けた形で設定することが可能となった。
加えて、リアルタイム波形モニタ機能「InstaView」により、インピーダンスの不整合があった場合でも、波形の歪みを検出し、真の波形をリアルタイムにモニタリングすることで、正しいテストを作成することを可能としている。
このほか、本体にオン・スクリーン波形生成機能「ArbBuilder」を内蔵。これにより、任意波形を振幅やオフセットを波形内に保持した状態でAFG上で作成、編集することが可能となったほか、オシロスコープからCSVで保存したファイルもUSBメモリ経由などでAFG内にロードすることも可能とした。
また、多チャンネルが必要なアプリケーションに向けて複数台を用いる場合でも、いままでのような複雑な設定手順などをとらずに、最大5台(10ch)まで接続して同期をとった状態での利用も可能となっている。
なお、同シリーズは1ch品ならびに2ch品に、それぞれ周波数帯域25M/50M/100M/150M/250MHzの合計10製品が用意されており、14ビットの垂直分解能と、最大2GSpsのサンプルレート性能を活用できる。また、価格は27万1000円(税別)からとなっている。