筆者は49歳、コンサルティング会社を経営していますが、サラリーマンをやめて起業してよかったなぁと思っています。それは自己責任の下、労働が自由だからです。

企業に所属されている方は、労働時間の制限があり、働きたくても働けない状況が結構多くて、かわいそうだと思っていました。タフで能力があって成果を出せる人はたくさん働いてもいいのではないでしょうか。あくまで「本人の自由」というわけです。

このように書くと、働き方改革関連法案で定められている「高度プロフェッショナル制度」の反対派の方々から、「過労死を黙認してる」「悪法を支持する奴」などと非難をいただきそうですが、筆者は与党も野党も支持していません。一国民として自分の考えで選挙に投票する人間です。

そうした観点から、今回「高度プロフェッショナル制度」や「働き方改革」について、一言申し上げたく筆を執りました。

そもそも「高度プロフェッショナル制度」とは?

今年7月に働き方改革関連法案が可決しましたが、同法案で定めている「高度プロフェッショナル制度(特定高度専門業務・成果型労働制)」に関してはさまざまなな記事が出ています。専門家に始まり、弁護士、社会保険労務士など、本当にいろいろな立場の人が同制度について書いています。

しかし、それらの記事はどこか少し偏っているような気がしてしまうほど、いろいろな解釈があるように思えます。このような時は、政府の解説文章を読まれるのが最も正しい理解になるのではないかと考えています。政府の解説文章は詳細が書かれていないことが多いので、その結果や行間の内容について、さまざまな意見が生まれることもあります。しかしまずは、原文を理解したうえで、評論文章を読まれることをお勧めします。

そこで、政府の解説文章を紹介します。私は厚生労働省が公開している以下の資料がわかりやすいと考えています。

「労働基準法等の一部を改正する法律案」について

上記の3ページ、7ページが「高度プロフェッショナル制度」の概要を解説したものになります。その中で一説を抜き出して紹介します。

「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設

  • 職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1,000万円以上)を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、健康確保措置等を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。

  • また、制度の対象者について、在社時間等が一定時間を超える場合には、事業主は、その者に必ず医師による面接指導を受けさせなければならないこととする。

概要の文章は、とてもシンプルなものですね。シンプルすぎるがゆえに、憶測が飛び交ってしまっているのかもしれません。さて、ここから筆者の意見を述べていきます。

高度プロフェッショナル制度も「労働者の自由」が前提であるべき

当たり前のことを申し上げました。現法も含めて、すべて「労働者の自由」であるべきだと思っています。日本人は働きすぎで過労死になりやすいから「労働時間に制限をつけよう」というのも「労働者の自由」に反しますよね。「労働時間に制限を付ける」ことにおかしいと感じます。

会社が従業員に対し強制的に健康を害するような労働をさせる場合は、それはその会社がおかしいのであって、その会社を訴えればいいと思うのです。一律に労働時間の制限を加えるべきではありません。社員もタフな人とそうでない人がいますので、自己責任でどこまで働くかを決めればよいというわけです。

とはいっても、現実には会社の指示に従って、過労死しそうなくらいに働かないと会社の席がなくなってしまうような人もいるでしょう。そういう人を救済するために、今回、一律の労働時間規制が引かれたと思うのですが、一部の人のために全体を規制するのは「労働者の自由」に反するので良くないのではないでしょうか。

「働ける人が働きたい時に働きたい分だけ働ける」という「労働量の自由」こそが、資本主義社会のあるべき姿だと思うのです。そういう意味で、今回、高度プロフェッショナル制度が施行されると聞いて、「労働時間の自由」を本人が希望して承認された場合、実現できると感じました。

この法案は完璧ではないかもしれませんが、本人の選択が前提である「労働量の自由」を推進するという点で賛成です。現在、仕事が絶好調で体力もみなぎっている人がいれば、健康が許す限り働きたいと思いませんか?