Cylance Japan 最高技術責任者(CTO) 乙部幸一朗氏

Cylance Japanは7月12日、エンドポイントセキュリティの主力製品「CylancePROTECT」の管理機能として、「CylanceHYBRID」と「CylanceON-PREM」の提供開始を発表した。

最高技術責任者(CTO)を務める乙部幸一朗氏は、いずれも「CylancePROTECT」の管理面における課題を解決するものと説明した。「CylancePROTECT」を導入している端末はインターネットを介して、クラウド管理コンソールで運用が行える。しかし、インターネット接続が限定的な環境やインターネットに接続しない環境では、クラウド管理コンソールが利用できないため、リアルタイムで管理できないという課題があったという。

「CylanceHYBRID」は「CylancePROTECT」専用のプロキシ―となり、主にインターネットに制限付きで接続された環境を対象としたもの。Cylanceクラウドへの通信をCylanceHYBRIDに集約してコンテンツをローカルにキャッシュすることにより、ネットワークの負荷を低減する。デバイスやポリシーの管理は、通常のクラウド管理コンソールから行える。

1台に接続可能な端末数は1万台までで、「CylancePROTECT」のユーザーに無償で提供される。

  • 「CylanceHYBRID」の構成イメージ

一方、「CylanceON-PREM」は、インターネットにせつぞくしない「閉域ネットワーク」での利用を想定したもの。クラウド管理コンソールではなく、独自の管理コンソールで、ポリシー、グローバルリスト、デバイス、ユーザーの管理などを行う。乙部氏によると、「CylanceON-PREM」の管理コンソールはリソースを消費しないことを前提としており、シンプルな機能を提供するという。

クラウドには接続しないため、端末からのハッシュ問い合わせや自動アップデートは提供されず、コンテンツのアップデートは手作業で行う必要がある。

1台に接続可能な端末数は1万台までで、「CylanceHYBRID」と異なり、有償で提供される。価格体系は、接続する端末の最小数による料金があり、台数が増える場合は、1台につき料金が増えていく。

  • 「CylanceON-PREM」の構成イメージ

  • 「CylanceON-PREM」の管理コンソールの画面

通常のクラウド管理コンソール、「CylanceHYBRID」、「CylanceON-PREM」においては、接続可能な端末数、EDR製品「CylanceOPTICS」への対応、管理機能などが異なる。

  • クラウド管理コンソール、「CylanceHYBRID」、「CylanceON-PREM」の比較

Cylance Japan 取締役社長 金城盛弘氏

取締役社長の金城盛弘氏からは、 「CylanceHYBRID」と「CylanceON-PREM」の提供開始以外のニュースの紹介が行われた。

同社は7月3日に「Cylanceマネージド・セキュリティ・サービス・プロバイダ(Cylance MSSP)パートナープログラム」の開始を発表した。同プログラムは、同社の製品に付加価値サービスをつけて提供するMSSPパートナーのためのものだ。同プログラムでは、月または年単位の課金で、マネージドサービスとして「CylancePROTECT」と「CylanceOPTICS」を提供する。

今回、同プログラムの開始に合わせ、NTTコミュニケーションズ、NECソリューションイノベータが、Cylance MSSPパートナーとして契約を締結したという。

また、金城氏は、米国本社が6月に1億2000万ドルを増資したことにも触れた。この資金調達により、研究開発と米国以外の欧州、中東、アジア太平洋といった海外事業を強化する。