材料・部品メーカーのLGイノテックは6月27日、都内にてUV LEDに関するメディア発表会を実施した。この発表会は、LGイノテック日本支社が同日開催した「UV-LEDフォーラム」に合わせて行われたもの。発表会では、日本支社長である文炯晋(ムン・ヒョンジン)氏、LED事業部長の宋俊午(ソン・ジュンオ)氏らが登壇した。

  • UV LEDチップ

    会場に展示されたUV LEDチップ

UV LEDとは、発光ダイオードの中でも波長400nm以下の紫外線を発光するもの。UVランプと比べて寿命が長いことや消費電力が低いこと、発熱が少ないことなどから、携帯端末のバックライトや投影露光装置など、民生用・産業用を問わず、かつさまざまな用途で使用されている。

同社のLED事業部長である宋氏は、「UV LEDの市場は年々増加することが見込まれる、中でも『UV-C』の市場の成長が期待されている」と語る。

UV-Cとは、紫外線の中でも波長が200~280nm未満のもの。細菌のDNAを破壊し化学反応を起こさせて殺菌させる性質をもつため、産業用水処理や浄水器、加湿器などといった幅広い用途での活用が期待されている。

  • 拡大するUV LED市場。特にUV-C市場は高い成長率が予測されている

LGイノテックは2017年2月、殺菌用高出力UV-C LED(70mW)を開発したことを発表、続けて同年11月にもさらに高出力(100mW)のUV-C LEDを開発したことを発表するなど、着々とUV-Cの技術を磨いてきている。「このフォーラムをきっかけに、市場を開拓することが目標」と語る宋氏。今回のフォーラム開催は、UV-C LEDの本格普及に向けたものだといえる。

UV-C LED普及のカギは”水俣条約”に

発表会で何度も登壇者が口にしたのが、「水俣条約」(正式には水銀に関する水俣条約)という言葉。熊本県・水俣市で起こった水銀による健康被害や環境汚染をきっかけとして、日本が主導して2013年に採択された条約だ。

この条約は水銀の輸出入を禁止するものであるが、飲料水の殺菌や超純水製造装置などに使用されている「水銀ランプ」などの”代替技術がない”製品は、2020年までその適応対象外となっており輸出入を許可されている状況にある。そうした状況を説明した上で宋氏は「2021年、水銀ランプの輸出入が出来なくなる。その水銀ランプの代替となる可能性を持つのがUV-C LEDだ」とつづける。

なおすでに同社はUV-C LEDモジュールを採用した浄水器や空気洗浄機、スキンケア製品などを開発しており、一部製品をすでに販売開始している。会場では同社が開発した製品がいくつか展示されていた。

  • UV-C採用の浄水器

    LG電子の浄水器「PuriCare」(韓国発売モデル)。2mWのUV-Cモジュールが採用されており、空気で汚染されやすい吐水口を殺菌する

  • UV-C採用の空気洗浄機

    LG空気洗浄機/LG SIGNATUREモデル。4mWのUV-Cモジュールが採用されており、水槽を周期的に殺菌する

またLGイノテックの日本支社長である文氏は、「今回のフォーラムをきっかけとして得たアイデアをもとに、新たな製品の開発につなげられれば」と抱負を語る。なおすでに同様のフォーラムは韓国、中国でも行われており、それがきっかけとなって声をかけられた企業もいくつかあるとのこと。今回のフォーラムをきっかけに、日本企業とLGイノテックの連携が生まれる可能性も高そうだ。