シノプシスは、高度に複雑化した最先端デザインに対処するため、人工知能(AI)技術を応用して、設計ツール群をさらに強化する取り組みを進めていることを発表した。AIを組み込んだ設計ツールにより、開発期間を大幅に短期化することができるという。
AIを組み込んだ設計ツールは、同社のデザインプラットフォームの機能を拡張し、3月に発表したFusion Technologyとのシームレスな協調動作を実現するものとなる。これにより、開発期間が大幅に短期化し、デジタルならびにカスタム・デザインにおける新しい結果品質の水準を確立することとなるという。
自動運転やAI技術の適用などに代表される半導体市場においては、より低消費電力でより高速に動作するチップの需要が高まっており、限られた開発期間内で求められる性能・消費電力・面積を満たした製品を開発するため設計面での技術革新が課題となっている。同社のスタティックタイミング・サインオフ解析ツール PrimeTimeは、微細構造デザインでパワー・リカバリーの5倍高速化を達成し、チップ設計にAIを活用することによる有効性が実証されたということだ。
ルネサス エレクトロニクス デジタル設計技術部の岡部秀之部長は、次のように語っている。「当社はシノプシス社のツールを長年に渡って使用しておりますが、PrimeTimeのAIを組み込んだサインオフ・ドリブン・パワー・リカバリーには大いに注目しています。当社の大規模SoCテストでは、タイミングとパワーの最適化品質を落とすことなく、パワー・リカバリーのECOが4倍以上スピード向上することが確認できました。PrimeTimeに搭載されたマシンラーニング・テクノロジにより、以前は数日かかっていたECOを数時間のうちに完了することができ、複数のブロック、階層、さらにはデザインスタイルで"学習"結果の再利用を実行することができました。」
AIを応用した設計ツールにより、解析の実行スピードが向上し設計者の生産性は大幅に高まり、設計結果の予見性も高まるためより優れた設計判断が可能となる。また、過去の"学習"結果をインテリジェントに活用したデバッグを実行できるようになるということだ。