Intelの日本法人であるインテルは5月21日、同社とパートナー各社のテクノロジーを組み合わせることで、IoTやAI(人工知能)、VR(仮想現実)などの最新コンピューティング技術の利用モデルやコンセプトを紹介する「インテル コラボレーション・センター」を同社東京オフィス内に開設したことを発表した。
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インテル東京オフィス内に開設された「コラボレーション・センター」の全景。テーブル側でディスカッションを行い、奥の書くソリューションブースで技術を確認するといった利用イメージとなる (画像提供:インテル)
同社は、2012年に前身となる「ヒューマン・インタラクティブ・テクノロジー・アプリケーション・センター」をつくば市に設立。2014年にコラボレーション・センターへとリニューアルが行われたが、今回はこれをベースに場所を東京オフィスへと移転させた形となる。
インテル代表取締役社長と務めるスコット・オーバーソン氏は、同センターの東京オフィス内での開設について「プレゼンをする場所ではなく、先端のテクノロジーを経験することで、コラボレーションを推進することを目指す場所。インテルは、半導体ベンダとしての中立的な立場からイノベーションの推進を実現していく」と、その役割を説明する。
具体的には、「AIやIoTの利用モデルを皮切りに、将来的にはVRなども含めたユーザー体験を得られる場所となることを目指している」(インテル 執行役員常務 技術本部本部長の土岐英秋氏)とのことで、そうしたテクノロジーを活用したいカスタマやパートナーとともに、一番効率の良いソリューションの探索を目指していく場にしたいとしていた。
2018年5月の開設時に設置されているコンピューティングソリューションは以下の10種類
- 8K超高解像モニタとPCプラットフォームの組み合わせによる先駆的なPC体験
- ほぼクレジットカードサイズのPC「Intel Compute Card」のデモ
- 空間採寸・温度センシングソリューション向け頑丈タブレット
- AIを用いたイラスト自動着色サービス
- 組み込みディープラーニングをいつでも、どこでも、だれにでも利用可能にするモデル構築サービス
- FPGAによるデータセンターの高速化
- USBスティック型のディープラーニング推論アクセラレータ「Movidius Neural Compute Stick」
- 先端3D触力覚技術
- Intel Labで考案された自動車運転時のHMI開発を支援するドライビングシミュレータ
- ネットワークにつながった進化したインフラとしてのIoT自販機
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8Kカメラとモニタを用いたPCによるレンダリングデモ。モニタはシャープ製、カメラはアストロデザインの手による2kgほどのコンパクトな水中でも利用可能な8Kカメラを使用。テクノマセマティカルのアルゴリズム「DMNA」を用いて高性能・低消費電力を実現した8K対応HEVCソフトウェアを用いてデコードしている
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Preferred NetworksのAIによるイラスト自動着色サービス「PaintsChainer」。Xeonスケーラブルプロセッサに最適化された「MKL-DNN」の採用により、GPUで行っていた演算の一部をCPUで実行することで、サービスのスケーラビリティとコストパフォーマンスの向上を実現した
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ミライセンスによる先端3D触力覚技術。従来のハプティクスは震える、温度を変化させる、といった使い方が多かったが、これは、重心を変化させ、左右に動かしたり、前後にバネで押したかのような圧覚を与えたりといったことが可能
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自動運転時のHMI開発を支援するドライブシミュレータ。自動運転に向け、自動車メーカー以外にもさまざまな企業が参入してきており、そうした企業が高いユーザーエクスペリエンスを実現しようと思った際に、用いられる
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ブイシンクとの協業によるIoT自販機「スマートマート」。vProベースのリモート制御が可能なほか、最大20cm×20cm×40cmの箱に収まる商品まで販売することができる
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Cyclone V SoCを用いたLeepMindの組み込みディープラーニングモデル構築ソリューション「DeLTA-Lite」のデモ。プログラミング不要で、組み込みディープラーニングモデルを構築することができる
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Intelが買収したMovidiusの技術を活用したNeural Compute Stickのデモ。推論をエッジでリアルタイムに低消費電力で実現できるスティック型アクセラレータで、複数利用で処理性能をスケーリングさせることも可能
また、同社の東京オフィスには最新のデータセンター環境を活用したテストなどが可能な「データセンターCenter of Excellence(CoE)」も設置されており、コラボレーション・センターにおけるエッジデバイス側の取り組みと、データセンターCoEにおけるクラウド側の取り組みの両方を一度に行うことができるようになっており、これにより、カスタマやパートナーは、エッジからクラウドまで一気通貫の取り組みをインテルと一緒に進める、といったことも可能になるという。
なお、コラボレーション・センターなどの利用には事前申請が必要であり、同社の営業担当や代理店などを経由して申し込む必要があるという。