Intel PSG(Programmable Solutions Group)に属する日本アルテラは4月12日、都内でサーバ向けFPGAソリューションの提供開始に関する記者説明会を開催した。
今回発表されたのは、サーバ向けの「PAC(Programmable Acceleration Card)」をサーバOEMベンダーが提供するという話で、これにあわせて必要なアクセラレーション向けスタックをIntelが提供すると共に、サードパーティによるFPGA向けIPの提供も始める、という話である(Photo01)。
Intelが、FPGAである「Arria 10 GX」の1150K LUT品(型番:10AX115N2F40E2LG)を搭載したIntel PACをOEMベンダーに対して出荷し、OEMベンダーはこのPACを自社で検証した上で、サーバ向け製品として(つまり他のサーバ向け製品と同等の運用保障とサポートを付加した上で)エンドユーザーに出荷する。
同時にIntelは「OPAE(Open Programmable Acceleration Engine)」と「FIM(FPGA Interface Manager)」、「ライブラリ」、「SDK」などを提供も開始しており、これを利用してエンドユーザーが自身でFPGA上にアプリケーションを実装することもできるようになるほか、サードパーティから、PACとOPAEなどをサポートした形でアプリケーションが提供されるようになるため、これを利用することも出来る、というものだ(Photo02)。
さてそのOEMベンダーであるが、今回はDellの「EMC E640/R740/R740xd」で提供が開始されるという話と、富士通の「Primergy RXx540 M4」で、こちらは早期アクセスプログラムに準じた提供が開始されるという話が述べられた(Photo03)。
一方、ソフトウェアスタックであるが、Photo04のような形である。水色の部分がソフトウェアスタックとしてIntelから提供される部分である。アプリケーションからこれをどう使うかといえば、例えばOpenCL経由でアクセスすることも出来るし、VerilogHDLでArria向けに書くことも出来る。またIntel HLS Compilerを利用して、アプリケーションの一部をRTL化してFPGA側にオフロードする、という事も可能だとする。
ただ流石にそれは敷居が高いというエンドユーザーが現実には多いわけで、そうしたエンドユーザーに対してサードパーティのソリューションが提供される。発表会で示されたのは、Spark DataFrameを利用した金融分析の高速化(Photo05)で、こちらではシンボル(株式の取引銘柄)1つあたりのアルゴリズム処理を850%高速化、オプション取引全体のシミュレーションを2倍強に高速化したとされる。
またSwarm64によるPostgreSQLを利用したリアルタイム分析(Photo06)では、リアルタイム分析を20倍以上に、従来型のデータウェアハウスの処理を1.5倍以上に、ストレージ圧縮では3倍以上にそれぞれ高速化したとする。日本アルテラによれば、すでに全世界で数十社がこのソリューション提供に向けて作業中ということであった。
ちなみにホストとのI/FはPCIe Gen3 x8で、Omni Fabricなどのソリューションは今のところ存在しないという。同社としては、帯域的にはこれで十分であろうと考えているとの事。またOPAEやその上位のライブラリ群は、Intelがすでに提供しているさまざまなライブラリ(たとえばIntel MKL:Math Kernel Library)などとの連携はないので、Intel MKLの金融分析向けライブラリにPACを組み合わせても別に高速化したりはしないそうだ。また提供されるのは今のところArria 10 GXのみで、たとえばStratix 10などについては今のところまだ公表できる計画は無いという話であった。