Intelは1月22日、2017年11月にリリースした「Intel FPGA SDK(Software Development Kit) OpenCL(Open Computing Language) バージョン17.1」の説明を報道陣向けに行った。

Intel プログラマブル・ソリューション事業本部 FPGAソフトウェア・ソリューション担当シニア・ディレクターのバンハード・フリーベ氏

説明を行ったFPGAソフトウェア・ソリューション担当 シニア・ディレクターのBernhard Friebe(バンハード・フリーベ)氏は、「今回のリリースは、ソフトウェアエンジニアによるFPGA・アクセラレータの開発を容易にするもの。さらに、エミュレート、コンパイルなどの時間を削減し、製品開発サイクルを速めることで、上市までの期間の短縮化に貢献するものでもある」と説明する。

「Intel PSG(旧Altera)では、これまでも長きにわたって、FPGAのOpen CL SDKを提供してきた。今回、Alteraの技術と、Intelの技術を合わせることで、ヘテロジーニアスな環境でのFPGA開発を容易にする、GUI(Graphical User Interface)を用いたIDE(Integrated Development Environment:複合開発環境)、カーネル開発フレームワークに対応した」(同氏)。

さらに、同バージョンからはさまざまな機能も追加されている。新たなOpenCL プロジェクト・ウィザード、OpenCL構文のハイライト表示およびコード入力補完機能、FPGAリソース利用に関するスタティック解析、システムビューワーとループ解析、ホストレベル・デバッギング、オフライン・コンパイラ、レポート表示、I/Oおよびホストチャネルのサポートなどだ。

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    「Intel SDK for OpenCL」の概要

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    IntelのSDK技術を活用し、IDE、カーネル開発フレームワークに対応

中でもフリーベ氏は、特筆すべきポイントとして、SDKにエミュレーション性能を向上する高速エミュレータが含まれたことを挙げる。これにより、ユーザーはFPGAを「Intel Code Builder for OpenCL API フレームワーク」にコンパイルすることなく統合し、実行することが可能となり、機能検証の時間を大幅に短縮することができるようになるという。

また、エミュレータ経由で機能検証を行なった後には、最終コンパイルの7割程度の時間で実施できるファーストコンパイルにより、ある程度のパフォーマンスや動きなどを見ることができる。ここで納得のいく場合は最終コンパイルに進み、納得のいかない場合には、前工程に戻ることで、開発サイクルの短縮化が期待できる。

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    エミュレータは、従来までと比べて、約100倍のスピードになっているほか、コンパイルの時間を削減することで、生産効率の向上を図る

「ソフトウェア開発者が求めていることを考えると、GUIの採用や、デバッグやプロフィール時間の削減、さらにはTime To Martet(製品を市場投入するまでの時間)を加速化するための、スピーディなコンパイルなどが必要だと思い、今回の新バージョンリリースに至った。最新リリースでこれらを実現することで、1日当たりのイテレーション(開発サイクル)を短縮化できれば」と同氏。

また、Intel Stratix 10のサポートも開始した。これにより、Strax 10デバイス上で OpenCLを使用してアプリケーションを高速化することが可能となった。「Intel Arlia 10」とスピード、パフォーマンスのベンチマークでは、内部クロック周波数は2倍、キャパシティは4倍増となったほか、FFT、SAR、GZIP、MMなどの面において、どれも有効な値を示した。

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    「Strax 10」と「Arlia 10」のベンチマーク結果

フリーベ氏は今回のリリースに関して、「Intel FPGA SDK OpenCL バージョン17.1」は、AlteraのFPGA開発技術とIntelのGPU、CPU開発技術を合わせたもの。2015年に買収されたAlteraとIntelの技術が合わさり、このような新たなプラットフォームを作れたことを嬉しく思う」と語った。