ルネサス エレクトロニクスは3月27日、28nmプロセスのフラッシュメモリ内蔵マイコン「RH850/E2xシリーズ」のサンプル出荷を開始したことを発表した。

  • ルネサスの世界初28nmプロセスフラッシュメモリ内蔵マイコン「RH850/E2xシリーズ

    ルネサスの世界初28nmプロセスフラッシュメモリ内蔵マイコン「RH850/E2xシリーズ」

RH850/E2xシリーズは、より高効率で信頼性の高い次世代エコカーや自動運転車の実現に貢献するため、400MHzのCPUを最大6コア搭載し、フラッシュメモリ内蔵の車載マイコンにおいて9600 MIPSを達成した。

電力性能比では、40nmプロセス製品と比較して同一電力で約3倍の性能向上を実現したほか、高精度な車載制御機能に必要なセンサI/F(インターフェース)を強化して搭載することで、車載制御の統合化を可能とする。なお、マルチコアの仮想環境およびモデルベース開発環境は、今後パートナー各社から順次提供予定だという。

また、ECUのソフトウェアをより安全性の高い制御プログラムに、無線を使って自動でアップデートするOTA(Over The Air)に対応するために、フラッシュROMを最大16MB搭載し、ユーザの用途に合わせて、プログラム実行中に任意の領域のみを更新可能となっている。加えて、シリアルI/Fを強化し、最大10チャネルのCAN FDやEthernetを搭載しているほか、Evita Mediumに対応したセキュリティ機能の搭載により、安全かつ短時間でソフトウェアのOTAアップデートが可能となっている。

さらに、車載E/Eシステム向け機能安全規格ISO 26262で最高水準となるASIL Dをターゲットに、2個のCPUコアが演算の同一性を担保するデュアルコア・ロックステップ方式のCPUコア構成を最大4セット搭載し、種々のハードウェア安全機構がさらに強化されている。これにより、自動運転のようなシステムの誤動作が致命的な事故に至る可能性がある用途において、万が一故障が発生した場合でも迅速に故障を検知し、システムを安全に保つことが可能になるという。さまざまなユースケースに柔軟に対応可能な安全分析ツールの提供などにより、安全なシステムの構築に貢献するとしている。

なお、RH850/E2xシリーズは、スケーラビリティを確保するために、28nmプロセスのフラッシュメモリ内蔵マイコンに加え、40nmプロセスのマイコンもラインナップし、サンプル出荷を開始した。