Analog Devices(ADI)は、スイッチド・キャパシタ回路と降圧同期コントローラを統合することで、高性能化とシステムサイズの小型化の両立を可能としたハイブリッド降圧同期コントローラ「LTC7821」を発表した。
同製品の最大の特長は、その回路構成であるといえるが、それにより絶対最大定格80Vで10V~72Vの入力電圧に対応しつつ、0.9V~33.5Vと広い出力電圧にも対応することを可能とした。そのため、同社では、テレコム、ストレージ、サーバなどで求められる48Vバスシステムを容易に実現することが可能になると説明している。
また、併せて、200kHz~1.5MHzのPLL固定周波数に対応し、500kHzで最大97%の効率を実現可能(48V入力12V/20A出力の典型的な機器に使用した場合)であり、周辺部品の小型化、省略などが可能となるため、従来の降圧同期ソリューションと比較して、サイズを最大50%小型化することができるようになるという。
さらに、独自の保護機能などを備えており、起動時のコンデンサの事前バランス調整を行うことで、スイッチド・キャパシタ回路で生じやすかった突入電流をなくすことが可能となったほか、電流モード制御アーキテクチャにより、複数の同製品を並列の多相構成で動作させることで、より多くの高出力アプリケーションに対応することを可能とする電流共有も実現可能としている。
なお、同製品は、旧Linear Technologyの部隊によるもので、同社では、従来からLinearが提供してきた手厚い技術サポートの提供などの、良かった部分は継続していくとしており、SpiceシミュレータであるLTSpiceの提供も1月中には準備が整う見通しだとしている。
また、同製品は、まだ現段階ではAECなどの車載用電子デバイス向け信頼性試験規格の認証は取得はできていないものの、自動車への応用も可能との見方を示しており、順次、対応を進めていく予定としている。