半導体製造装置メーカーのディスコは、レーザ加工によるインゴットスライス手法・KABRA(カブラ)プロセスの完全フルオートメーションを実現する「KABRA!zen(ゼン)」を開発したことを発表した。

  • KABRA!zen SEMICON Japan 2017出展機

    KABRA!zen SEMICON Japan 2017出展機

従来のKABRAプロセスは、レーザ照射・ウェーハ剥離・指定厚仕上げ研削・インゴット上面研削の各工程間でオペレータによるワークの置き換え作業を伴うため、オペレータスキルがスループットに影響した。また、IoTの進展や自動車の電装化などで幅広い製品での電力消費量の増加が予想され、SiCをはじめとする次世代材料を用いた省エネ型パワーデバイスの普及が期待されている。しかし、従来のダイヤモンドワイヤソーによるインゴットスライスは、スループットの低さと加工時の素材ロス量の多さが、製造コスト増に繋がっていた。

今回、同社が開発した「KABRA!zen」は、 工程間の完全自動搬送によりスループットが約50%向上している。これにより、KABRAプロセスに必要なレーザ照射・ウェーハ剥離・指定厚仕上げ研削・インゴット上面研削の一連の工程を無人化でき、SiCウェーハ生産の効率化が見込まれる。

また、レーザ・剥離・研削各プロセスを繋ぐシステムであるため、ウェーハ生産量や面仕上げ状態など諸条件に応じて、各工程の装置数をカスタマイズできる。

さらに、先行してマニュアルタイプのKABRA専用機(DAL7420)を導入している場合でも、後付けによる全自動化が可能となっている。

なお、同製品は12月13日〜15日、東京ビッグサイトにて開催される半導体製造装置・材料の国際展示会「SEMICON Japan 2017」に参考出展される。同社によれば、既に大手SiCウェーハメーカーの引き合いを受けており、2018年中のテスト出荷を目指すということだ。