半導体としての成長が期待される自動車とIoT
半導体市場調査企業のIC Insightsは12月6日(米国時間)、「2018 Integrated Circuit Market Drivers(2018年のIC市場けん引役)」と題する調査レポートを発行し、その中で、2016年~2021年の間に、ICのアプリケーション適用分野としてもっとも高い成長を遂げるのは、車載およびIoT向けで、全ICの年平均成長率(CAGR)よりも高く成長する」との予測を公開した。
車載向けには従来車向けのみならず、電気自動車(EV)や自動運転車向けICチップを含むほか、IoTは、電子システムの中でインターネットへの接続に使用されるチップを含むとしており、自動運転車やその他の自動車に搭載されるICは2016年には229億ドルであったものが、2021年には429億ドルに達する見込みだという。また、IoT向けICは、2016年には184億ドル規模であったが、2021年には342億ドルに達すると予測されている。
2016年~2021年の間に、車載およびIoT向けICの売上高は、それぞれCAGR13.4%/13.2%と予測されており、2017年の市場規模は、車載が前年比22%増の約280億ドル、IoTが同14%増の約145億ドルと予測されている。これに対して、IC全体の売上高は2016年の2977億ドルから2021年には4345億ドルへとCAGR7.9%で成長すると予測される。
用途別市場としての最大級は携帯電話とPC
ICを応用したさまざまな最終製品の市場規模を見ると、2017年の最大市場はDRAM/NANDといったメモリの価格高騰を追い風とした携帯電話向け(897億ドル規模)で、IC市場全体の約24%を占める。2番手はスタンダードPC向け(690億ドル規模)で、この2つの市場だけで、全体の4割超を占めており、中でも携帯電話向けIC市場は2021年までのCAGRでも7.8%と予測されており、2021年には1056億ドルに達すると見込まれている。
車載、IoTに次いで成長率が高いのは、医用電子製品(CAGR9.7%で2021年の市場規模は78億ドル)とウェアラブル(同9.0%の49億ドル)であるが、CAGRがマイナス成長になる製品市場も存在する。同レポートでは、ビデオゲーム機が同マイナス1.9%で2021年に97億ドル規模、ラブレットコンピュータが同マイナス2.3%で2021年に107億ドル規模までそれぞれ減少する見通しである。
なお、携帯電話向けIC市場とPC向けIC市場は2018年もプラス成長が見込まれているが、この成長の大半がメモリ価格の高騰によることが見込まれる。すでに市場としては、台数そのものは飽和気味だが、メモリについては1台あたりの搭載量は増える余地があるわけで、性能向上を背景に、メモリの価格が高くても搭載量を増やさざるを得ない状況となれば、その分、ICの売上高も増加する仕組みとなっている。