IC Insightsは10月18日(米国時間)、10月12日(米国時間)、同じく市場調査会社であるGartnerが2017年の半導体市場の成長率を前年比19.7%増に上方修正したのに続き、同じく同22%へと上方修正すると発表した。

同社の上方修正は、年初の予測5%から、同11%へと上方修正したのち、7月にさらに同15%へと引き上げ、その後も16%へと修正、そして今回同22%へとさらなる修正を行っており、合計4回にも達する事態となっている。すでに、年初に予測した成長率の4倍以上に予測値が膨れ上がってしまっており、予想というよりも、むしろ事実の後追いに終始するといった状況といえる。

こうした予測が次々と上方修正される背景には、DRAMやNANDといった半導体メモリの価格高騰が、ここまで続くとは思われていなかったところが大きい。メモリ価格の高騰は2016年後半から始まっており、約1年の間、価格の高騰状態が続いていることとなり、市場調査会社にとっては、にわかには信じ難い状況となっているようだ。

ちなみにIC Insightsでは、IC市場とそれ以外の市場(光学素子・センサ・ディスクリート:O-S-D)を区別して統計を取っており、両方合わせた半導体市場の伸びは、Gartnerの修正値とほぼ同じ前年比20%になるという。

DRAM市場の成長率は脅威の前年比74%

こまかく製品別に市場予測を見ると、同社ではDRAMの平均販売価格が前年比77%の上昇という状況から、DRAM市場の成長率が前年比74%増で、市場規模は720億ドルを記録すると見ている。この成長率は、1994年に記録した78%という成長率以降、最大の成長率であり、DRAMメーカーが増産のために工場を拡張する代わりに、プロセスの微細化に優先的に投資を行ったため、歩留まりの低迷が生じ、その結果、出荷数量が増えなかったことが背景にある。

また、NANDの平均販売価格は同38%の上昇で、NAND市場 の成長率は同44%増で、市場規模は498億ドルとの予測になっており、半導体メモリ全体の成長率は同58%増とするほか、2018年も同11%増の2桁成長を予測している。

さらに、メモリを除いたIC分野の成長率は同9%増と予測されており、DRAM/NADNの2つの市場が、IC市場全体の成長率を大きく押し上げていることが分かる。

なお、2013年から2017年に至る5年間のIC市場の前年比の成長率(%)とDRAMを除くIC市場の前年比の成長率(%)を見ると、ここ数年にわたって1桁成長を続けてきIC市場が、今年は過去のトレンドから逸脱して大きく成長しつつあることが見て取れ、過去のトレンドに乗らない未来の市場予測が難しいことを見て取ることができる。

図1 2013年から2017年にかけてのIC市場の前年比成長率(%、各年の左側の青棒)と、DRAMを除いたIC市場の前年比成長率(%、各年の右側の青棒表示)。いずれもドルベース。ただし2017年の右側(予測値)は、DRAM/NANDを除いたIC市場の伸び(%)を示す。2015年の右側は、前年の対ドルの為替レートを適用した場合のIC成長率を示す。2015年は、対ドルの為替レートが大きく変動し。ドル基準では、マイナス成長となるが、日本、韓国、欧州の自国通貨ベースではプラス成長しているためである (出所:IC Insights)