島津製作所とIAEA(国際原子力機関)は、10月2日に島津製作所製の高速液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-8060」を同機関に寄贈することで合意したことを発表した。IAEAの事務局長を務める天野之弥氏と島津製作所の代表取締役会長を務める中本晃氏は、同日に島津製作所本社にて協力覚書の署名式に臨んだ。

島津製作所会長の中本晃氏(左)とIAEA事務局長の天野之弥氏(右)

IAEAは食品安全、環境、医療などの分野で原子力技術を応用し、途上国の開発を支援しており、島津製作所が寄贈するLCMS-8060は、IAEA本部近郊のサイバースドルフ研究所にある食品環境保護ラボ(FEPL)に設置されることとなる。

FEPLでは主に食品の安全やトレーサビリティ管理に関わる研究を行っており、これまで、食品中に残留する抗生物質・カビ毒・農薬などの分析、産地偽装・成分偽装などを見分けるための代謝物の鑑定分析に高速・高感度の質量分析計を必要としていたという。

島津製作所の中本氏は、今回の寄贈は「IAEAの途上国支援が、「人と地球の健康への願いを実現する」という当社の経営理念に合致していた」ことが理由であるとしており、「将来的には食品安全に留まらず、環境や医療などの研究でも使っていただけたら」とコメントしている。

島津製作所が寄贈する高速液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-8060」

なお、今回の寄贈には、LCMS-8060以外に、装置の取り付けや分析メソッドの確立を支援するための同社の技術者派遣、保証期間内のサポート、保証期間終了時の点検作業が含まれ、同件の寄贈総額は、40万9925ユーロ(約5124万円、1ユーロ=125円で換算)となる。