市場動向調査企業である米Gartnerは4月13日(米国時間)、2017年の世界半導体売上高について、年初発表の予測である前年比7.7%増に対し、4.6ポイント増となる同12.3%増の3860億ドルとなる見込みであると上方修正したことを発表した。既報の通り、市場調査会社IC Insightsも3月29日に5%から11%への上方修正を発表しているほか、こうした動きを裏付けるような第1四半期の売上高に関する速報値も出てきており、半導体産業に久々のバブル到来といえそうだ。

2桁成長の背景についてGartnerでは、2016年後半から進むメモリ市場の急速な回復が、2017年に入ってさらに加速していることが大きく、2017年のみならず2018年の売上高予測も引き上げている。ただし、メモリ市場は景気の変動が激しく、DRAMならびにNANDメーカー各社が生産能力の増強を進めていることに加え、複数の中国半導体メーカーがメモリ分野への参入に向けた取り組みを強化していることから、2019年にはメモリが供給過剰に陥り、不況に転じる可能性も同社は指摘している。

こうしたメモリ価格の例としては、PC向けDRAMの価格が現在、2016年半ばの12ドル50セント(4GBモジュール)から倍程度の約25ドルへと跳ね上がっているほか、NANDの平均販売価格も2016年の下期から2017年第1四半期にかけて値上がりを続けていることが挙げられる。DRAM、NANDともに価格は2017年第2四半期にピークを迎えると予想されているが、スマートフォン(スマホ)などの主要なアプリケーションでは、コンテンツが増加傾向にあるので、スマホベンダなどがメモリの争奪戦を繰り広げ、結果として2017年も年末近くにならないと安定供給の安堵感が出てこないとの見かたも示している。

なお、DRAMならびにNANDのPCやモバイル機器、サーバ、SSDといった主要最終製品に搭載される容量が増加していることも半導体売上高の上方修正に寄与していると同社では説明しているほか、プレミアムスマホ、グラフィックスカード、ビデオゲーム機、車載アプリケーションといった分野の生産数量予測も上向きになっており、これらの強い後押しを受けていることが2桁成長へと結びつけているとしている。ただし、IoTやウェアラブル機器については、まだ初期段階で市場が不安定であるため、2017年の半導体市場ではそれほど大きな影響を与えるものにはなっていないともしている。