クルマの電子化・電動化、ADAS、自動運転、軽量化など、自動車業界における最重要テーマの最新技術を一堂に集めた展示会「第9回 オートモーティブワールド(オートモーティブワールド2017)」が2017年1月18日から20日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている。同展示会において、Cypress Semiconductorの日本法人である日本サイプレスブースでは、車載用マイコン「Traveo」を中心に、同社の製品を組み合わせたソリューションの展示を行っている。

同社のTraveoは、旧Spansionの系譜、さらに言うと旧Spansionが買収した富士通セミコンダクター(FSL)のマイコン部門が開発していた製品の系譜の車載マイコンで、Cortex-Rシリーズをコアとしている点に特徴がある。

同社ブースでは同マイコンと、タッチスクリーンコントローラ、PMICなどを組み合わせたセンター・インフォメーション・ディスプレイ(CID)ソリューションや、2つのディスプレイとタッチボタンコントローラを組み合わせたハイブリッドクラスター/ヘッドアップディスプレイ(HUD)ソリューション、MyScriptと提携して実現したラテン語/日本語/中国語の手書き文字認識ソリューション、車載セキュリティ回路「SHE(Secure Hardware Extension)」を活用した安全なFarmware Over The Air(FOTA)を実現するファームウェアアップデートソリューションなどを見ることができる。

中でも手書き文字認識ソリューションはロータリージョイスティックの表面に指で文字を書くと、瞬時にその文字がなんであるかを判定するというもの。辞書ファイルの容量が各言語により異なるため、判定までにそれぞれの言語で若干のラグがあるが、日本語だと概ね40ms程度で9割以上の正答率を導き出していた。

MyScriptと提携して実現したラテン語/日本語/中国語の手書き文字認識ソリューションのデモ。ロータリージョイスティックの表面に指でも文字を書くと、リアルタイムでその文字がなんであるかが判定される仕組みとなっている

また、FOTAソリューションは、TraveoマイコンのSHEと同社の外付けHyperFlashメモリ、TCP/IPを組み合わせたもので、サンプルの提供も行っているという。ちなみに、サンプルとしては、SHE初期設定ファームウェア、デモファームウェア(ブートローダ+アプリ)、制御ツール(Windows用)、変換ツール(Windows用)、ユーザーガイドの組み合わせが提供されるとのこと。セキュアな理プログラミング機能とロールバック機能を実現しており、仮に不正な状態になってしまったとしても、ロールバックして正常な状態に戻す、といったことができるようにもなるなど、冗長性にも配慮されたものとなっている。

このほか、CIDソリューションは、ドアの開閉状況や車内の温度状況などをインフォティメントディスプレイに表示するといった形のデモで、ドアの開閉に関しては、エナジーハーベストで発電した磁気センサからの情報を受けて、開閉状態を判断したり、温度センサも搭載しているため、温度状況によって、そのドアのアイコンが赤くなっていく様子を見ることができるものとなっている。

CIDソリューションデモの様子。左写真の黒い4つの長方形の物体がドアを模したセンサ。分かりづらいが、右下が外れているため、モニタ上は赤くなっている。ちなみに左写真の右上にドライヤーが写っているが、ドアセンサには温度センサも搭載されているため、これで熱を加えると、色が変わる