--中小型パネルは、スマホ以外では、車載が有望のようですが、自動運転化でパネルの需要は増えるのでしょうか?

早瀬氏:自動運転を目指して自動ブレーキなどの電子制御が追加されるほどデイスプレイ搭載数は増える。例えば自動ブレーキがついている車には必ずディスプレイが必要で、状況把握や警告を発するのに使われる。電子ミラーの搭載も本格化するだろう。今はカーナビがなくても走行できるが、自動運転になったらカーナビは必須になるので、当然カーナビ用のディスプレイは必須となり、そこに行き先や経由地などの情報をインプットする必要がある。完全自動運転になれば、いままで運転席だった席でテレビを楽しむことなどが可能になるからそこにテレビ用のディスプレイが搭載されるといったことも考えられる。

--車載のディスプレイも有機EL化するのでしょうか?

早瀬氏:車載デイスプレイは、カーナビにしてもスピードメーターにしても同じ画面が長時間表示されることになるので、有機ELは焼きつきの問題が解決しない限り出番はないと思う。Samsungも車載への有機EL適用は諦めているようだ。

--ノ―トPC向けディスプレイに大きな変化はありますか?

早瀬氏:ノートPC向けはラジカルな変化は生じないだろう。焼きつきの心配があるので、車載同様に有機ELは向いていないから、引き続き液晶が使われるだろう。タブレット自体は伸びは期待できないが、ノートPCとしても使える2in1の方向でプラスαのバリューを増す方向だろう。

--車載に次ぐ将来の中小型ディスプレイのアプリケ―ションは?

早瀬氏:ウェアラブルやVRヘッドセットはじめ、いろいろ新製品がでてきているが、いずれも市場が小さすぎる。ただIoT分野では中小型パネルの大きな市場が形成される可能性がある。IoTとディスプレイの関係はまだはっきりと見えない部分があるが、それぞれの端末がネットと接続されるとディスプレイが必要になる可能性が出てくる。

例えば電子レンジがネットに接続するとメニューが表示されるようになる。冷蔵庫もエアコンも同様で、人が指示を出すために必要ないろいろな情報が表示されるようになる。今後大量に出回るスマートメーターにもディスプレイがつく。一方では、少量しか必要ないが手間をかけても作らねばならない多品種少量のディスプレイも必要になるだろう。IoT向けディスプレイ自体は決して高性能・高画質である必要はない。

IoT自体が手探りの状態だから、ディスプレイがどんな広がりを見せるのかまだ解が見いだせていない。はっきりするのは5~10年後だろうが、量が出そうなので、IoT向けのディスプレイに対する期待感は大きい。IoT時代のディスプレイは、限られた企業が独占するのではなく、多くの企業にチャンスが巡ってきて、すそ野が広がった方が、日本の電機産業の発展にとっては好ましいだろう。