半導体の老舗Intersilの歴史は波乱万丈

Semiconductor Intelligenceは、レポートの最後に、 ルネサスが買収したIntersilの歴史について言及しているので、ここに紹介しよう。これで1950/1960年代に設立された半導体黎明期からの老舗2社(FairchildとIntersil)が消滅してしまうことになり、ノスタルジーを込めて、同社の波乱万丈の歴史を紹介している。

現在のIntersilは、軍事向けを中心とした通信機器メーカーである米Harris Corporationが1999年に本業の軍事産業分野に注力するため、半導体事業から撤退することを決めて、そこから分離して誕生した企業である。

Harrisは1967年に米国の軍事用半導体メーカーRadiationを買収して半導体製造を始めた。同じ年に初代Intersilは、Jean Hoerni(1950年代にFairchildを創業した1人であり、プレーナープロセスの発明者)が創業した。Intersilは1981年にGeneral Electric(GE)に買収されたが、GEは半導体事業をHarrisに1988年に売却してしまう。そこにはGEが1986年に買収したばかりのRCA半導体部門の技術や先に買収しておいたIntersilの技術も含まれていた。

GEやRCAは半導体産業初期のリーダーだった。GEとRCAは、AT&T(ベル研究所)のトランジスタの特許使用権を極めて初期のころに取得している。自らもさまざまな半導体研究を行った。

GEとRCAは、かつてのコンシューマエレクトロニクスのリーダーであり、自社製品に使う半導体の多くを内製していたし、半導体の外販も行っていた。GEは、1960年代、個別半導体チップの主要サプライヤだったのだ。RCAは、1970年代半ばには、半導体ランキングのトップ10に入っていた。ルネサスはInterilの買収により、1940年代や1950年代に半導体研究を始めた5社(GE、RCA、NEC、日立、三菱)の伝統ある歴史を引き継ぐことになる。